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連載 被爆70年

[ヒロシマは問う 被爆70年] 被爆者、決意再び 「体験通し人類の危機救う」

 10日、東京都内で開かれた日本被団協の定期総会。「私たちの体験を通して人類の危機を救う」。本年度の運動方針が、各地から集まった被爆者組織の代表たちにより、拍手で了承された。

 全国の被爆者の平均年齢は、約80歳。会場にいた「若手」でも69歳の胎内被爆者である。壮大にも聞こえる決意だが、誇張ではない。

 世界に体験を伝えることで、核兵器が再び使われるのを阻止する、という信念を突き通してきた自負。なおも核兵器がなくならないことへの危機感も色濃く映す。

 参加者は「私たちが生きている間に核兵器廃絶を」と口々に述べた。岩佐幹三代表委員(86)は「核兵器廃絶へ、国際社会が立ち上がっている。何とかして、市民と力を合わせたい」と声を振り絞った。

 運動方針の一文は、被爆から11年後の1956年に発表された日本被団協の結成宣言「世界への挨拶(あいさつ)」にある。草稿を書いたのは、被爆者運動と原水爆禁止運動を先導した故森滝市郎・広島大名誉教授。59年を経て原点に立ち返った被爆者は、あらためて「人類の危機を救う」と力を振り絞る。(金崎由美)

(2015年6月21日朝刊掲載)