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ヒロシマ用語集

黒い雨

放射性物質 降り注ぐ

 原爆投下直後、広島では放射性物質や、大火災によるすすを含んだ黒い雨が降りました。爆発と大火災による上昇気流により、雨雲ができたためです。

 降り始めた時期は地域によって異なりますが、早くは、爆発の20~30分後ごろから、広島市の北西部で大雨が降り始めました。被爆後の調査では当初、爆心地から北西方向の長さ約29キロ、幅約15キロの卵形のエリアで降ったとされました。

 国は、この調査を基に1976年、雨が降った中でも「大雨」だったとされる地域を「第1種健康診断(しんだん)特例区域」に指定。そこで黒い雨に遭(あ)った人は無料で健康診断が受けられるほか、がんなど特定の病気になれば被爆者健康手帳を取得できます。しかし「小雨(こさめ)」とされた地域などは対象になっていません。

 広島市や広島県による2008年度からの調査で、「大雨」地域より約6倍広い範囲(はんい)で黒い雨が降り、体験者が健康不安を抱(かか)えていることが判明。市や県は、全ての降雨地域を特例区域に指定するように要望しましたが、国に認められていません。黒い雨を浴び、健康被害を受けた住民たちは、援護の拡大を目指して裁判を起こし2021年7月に全員が勝訴しました。国は、黒い雨に遭った可能性が否定できない人ががんなど11の病気になれば手帳を取得できるよう制度を改めました。これにより、救済される対象者は1万人になるとみられています。しかし、病気の種類を限定していることなど、依然として批判もあります。。