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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 岸田外相にメッセージ 核廃絶推進のリーダーに

 「ユース非核特使OB・OGフォーラム」(外務省主催(しゅさい))が広島市中区の原爆資料館で開かれ、私は、広島女学院高3年の並川桃夏さんと、フォーラムに来ていた岸田文雄外相にメッセージを送りました。「(岸田外相が)世界のリーダーとなって核兵器廃絶を推し進めてほしい」。そう伝えたくて内容を考えました。

 約1年前、岸田外相へのインタビューで直接聞いた「日本は核兵器国と非核兵器国との間の触媒(しょくばい)になる」という言葉に疑問を抱(いだ)いていました。確かに、間を取り持つ存在は必要です。しかし唯一(ゆいいつ)の戦争被爆国である日本は、率先して核兵器廃絶に取り組むべきです。

 最近は国連の核軍縮作業部会に参加するなど行動を起こしてはいるけれど、まだ積極的とは言えません。日本が「核の傘(かさ)」の下にあるからかもしれないと考え、「核兵器に頼(たよ)らない安全保障のシステムを構築してほしい」という要求も加えました。被爆地広島で生まれ育った私たちにとって、核兵器は人間と共存できない恐(おそ)ろしい武器であることを、広島出身の岸田外相には再認識してもらいたいです。

 他国の政府関係者にも核の非人道性を認識してもらいたいと思い、「各国のリーダーを広島に招き、平和記念公園を訪問し、被爆者の思いを聞いてもらうように、働き掛けを続けてほしい」とも訴(うった)えました。広島を訪れたら、核の悲惨(ひさん)さだけではなく、人間は苦難と恨(うら)みを乗(の)り越(こ)え、平和を築ける力を持っているのだと分かるはずです。

 将来を担うのは私たち若者ですが、政治を今行っているのは大人たちです。岸田外相には、私たちの思いを考慮(こうりょ)し、核兵器廃絶への大きな一歩をしっかり踏(ふ)み出(だ)し、良い「バトン」をパスしてもらいたいと思います。(高3二井谷栞)

(2016年4月18日朝刊掲載)

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