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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 核ない世界 実現を メッセージ集記念イベント 

 「核のない世界」の実現へ向け、被爆者(ひばくしゃ)や学生、著名人たちのメッセージを集めた本「No Nukes ヒロシマ ナガサキ フクシマ」(講談社)の発売記念イベントが、広島市中区の広島国際会議場でありました。被爆者と大学生が世代を超(こ)えてトークを展開。作家の重松清さん(52)は、講演や大学生との語らいを通じて、世の中の矛盾(むじゅん)などについて考え続ける大切さを強調しました。ジュニアライター13人が参加しました。

学生、被爆者と語らい

記憶の継承へ決意

 広島、長崎、福島の大学生3人は被爆者2人と語り合い、その体験や思いを聞いて記憶の継承(けいしょう)の大切さを考えました。

 通勤途中に被爆した李鐘根(イジョングン)さん(86)=広島市安佐南区=は、家族を巻(ま)き込(こ)んだ苦しい闘病(とうびょう)生活を振り返って「核と人間は共存できない」と力説。中村元子さん(70)=広島県海田町=は、わが子の甲状腺(こうじょうせん)障害を機に、自身の被爆体験や放射線の怖さを証言するようになった、と打ち明けました。

 福島大2年木村元哉さん(19)は、被爆地と原発事故を経験した福島が核被害で共通するとして、「壊滅的(かいめつてき)な状況から立ち直った広島は、福島にとって希望の光だ」。長崎大3年新崎(あらさき)さくらさん(20)は「被爆地と福島の連携が必要」と話しました。

 被爆体験継承の場を企画している広島大4年福岡奈織(なお)さん(22)は「今後も学生と被爆者の距離を近づけ、あの日の体験を引き継ぐ接点をつくっていきたい」と語りました。

 この会合に参加し、被爆者が体験を話すのはつらく勇気がいることだと感じました。未来を担う世代として、その体験や思いをしっかり受け止め、広めていきたいです。(高1風呂橋公平)

重松さん 講演・学生と座談会

直接聞ける世代 バトン受けよう

 重松清さんは「『赤ヘル1975』の原風景―ヒロシマの記憶を、子どもたちにどうつないでいくか」と題して講演し、さらに大学生たちと座談会で話し合いました。その中で、「私たちは被爆者から直接話を聞くことができ、質問できる最後の世代だ。戦争や原爆(げんばく)について、バトンを受け止め続けていくことが大切だ」と指摘(してき)しました。

 そして、知ることは、分かるためのヒントを得ることで、知れば知るほど矛盾が生まれるかもしれない。ただ、それに耐(た)えていくことによって、自分自身を成長させることができる、と訴え掛けました。その上で、「さまざまな価値観を学び、相手の気持ちを理解できる人でありたい」と話しました。

 私も、さまざまな人や映画、本などとの出合いを大切にして想像力を豊かにし、世の中にある多くの考え方や思いを知りたいとの気持ちを強くしました。それは、平和な社会を考える原点ではないかと思いました。(高2福嶋華奈)

(2015年5月11日朝刊掲載)

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