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ジュニアライター発信

ジュニアライター この一作 「月光の夏」(毛利恒之著) 特攻隊の思い 胸痛む

 この本を読んでいると、特攻隊(とっこうたい)を通して、戦争の悲惨(ひさん)さ、苦しみが伝わってきます。文中に、特攻隊の人が出撃(しゅつげき)していく前に書いた遺書が紹介(しょうかい)されています。遺書には、幼いころの母親との思い出や、家族への感謝の気持ちがつづられています。特攻隊の家族の思いを考えると、悲しくなりました。

 また、本の中で、2人の特攻隊員が出撃する前日、佐賀県鳥栖(とす)市の国民学校でベートーベン作曲の「月光」を弾(ひ)きます。2人はどのような思いでピアノを弾いたのでしょうか。特攻隊は、まず生きては帰れません。「死ぬ前に思いっきりピアノを弾きたい」。きっと、それぞれ大切な人を思いながら演奏したのではないかと思います。とても胸が痛みます。

 特攻隊のような、死ぬのが当然の部隊を二度とつくらなくてもよいよう、平和な世界になってほしいと思いました。(中2中川碧)

(2014年8月25日朝刊掲載)

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