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ジュニアライター発信

ジュニアライター FFステージで「原爆の子の像」発表 企画担った高2 活動振り返る

サダコの輪 広がって

 中国新聞ジュニアライターのうち24人は2018ひろしまフラワーフェスティバル(FF)に参加。4日のステージで建立60周年を迎えた「原爆の子の像」をテーマに発表しました。自分たちで取材し、作ったパネルを手に、佐々木禎子さんの短い生涯と像ができるまで、そして世界に広がるSADAKOの物語を3部構成で紹介しました。

 発表は、第1部として禎子さんの紹介(しょうかい)からスタート。2歳で被爆後、元気に暮らしていた禎子さん。幟町小時代のエピソードを同級生の一人、広島市中区の川野登美子さん(75)から事前に聞いて掘(ほ)り下げました。

 6年生の時、運動会のリレーの練習にクラスで励(はげ)み、本番で優勝。級友の団結力は強まりました。しかし、まもなく禎子さんは白血病で入院し、鶴を折って回復を祈(いの)りました。級友たちは中学に進んでも見舞いに通いましたが、しだいに足は遠のきます。そこに禎子さんが亡くなった知らせが届き、悔やむ思いが募(つの)りました。

 第2部は、立ち上がった子どもたちの運動です。級友らは原爆で亡くなった全ての子どもを慰霊しようと、像を建てるため募金活動を始めます。全国の校長先生の会議でビラを配ったり、街頭で呼び掛(か)けたり…。輪は国内外に広がり約540万円が集まりました。1958年5月5日、像が除幕されました。

 第3部は、国境を超(こ)えた広がりを説明しました。像を巡(めぐ)る話は本となり、各国の言葉に翻訳されます。米国を始め、世界のいろんな所にモニュメントが造られ、広島にも多くの外国人が訪れます。寄せられた折り鶴の一部は再生紙に変わり、平和への思いを乗せて再び羽ばたいているのです。

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 企画(きかく)を練った高校2年生の感想を伝えます。

総合リーダー 高2 鬼頭里歩(17)

平和への思い もっと世界へ

 「原爆の子の像」はみんなが知っているだけに、どうすれば「知らなかった」「そうなんだ!」と受け止めてもらえるか、創意工夫するのが鍵(かぎ)になりました。普段(ふだん)の記事と違(ちが)って、今回は観客の皆(みな)さんの顔を見ながら発表して「伝える楽しさ」を感じました。この発表は小さな一歩ですが、平和を大切にする心が折り鶴とともに、世界へ広がることを願っています。見に来てくれた皆さん、ありがとうございました。

副リーダー 高2 川岸言統(16)

観客の笑顔に疲れ吹き飛ぶ

 「きれい」。ステージが終わった後、見に来てくれた5、6歳の男の子にお土産のキーホルダーを渡(わた)すと、その子は喜んでくれました。約5センチの小さなプレゼントですが、みんなで一生懸命(けんめい)作ったのでうれしかったです。3月終わりから準備を始め、みんなでステージを楽しんで終えたかったので、連絡(れんらく)をまめに取り合いました。発表を終え足が棒になりましたが、お客さんの笑顔を見ると疲(つか)れが吹(ふ)き飛びました。

禎子さん紹介チームリーダー 高2 平田佳子(16)

禎子さん取材 親近感わいた

 禎子さんの生い立ちや人柄(ひとがら)を調べるのに、最初は戸惑(とまど)いました。自分たちなりに禎子さんの「素顔」を調べて伝えたいという目標を立てていたからです。チームのみんなで意見を出し合い、最終的には同級生だった川野登美子さんに会いに行くことに。話を聞くうち、禎子さんも自分と同じような少女だったと気付いて親近感がわきました。短期間で準備して、川野さんとグループのメンバーには感謝でいっぱいです。

原爆の子の像設立チームリーダー 高2 藤井志穂(16)

女の子2人の祈る姿 印象的

 平和学習で「原爆の子の像」を勉強した時、なぜ名前が「禎子さんの像」ではないのかが不思議でした。今回調べて、原爆で亡くなった子どもみんなを慰霊(いれい)していると知りました。パネルで使う写真を撮(と)りに行った時のこと。女の子2人が像のてっぺんの少女に向かって、手を合わせている姿が印象的でした。子どもたちが大人になり未来をつくっていく時、禎子さんと同級生たちの絆(きずな)を思い出してくれたらうれしいです。

現在の広がりチームリーダー 高2 池田杏奈(16)

初めての役割果たし達成感

 初めてリーダーを務めさせてもらいました。人前に出て指示したり、まとめたりするのが苦手なので当初は不安でした。また、海外への広がりをどう表現するかも試行錯誤(しこうさくご)しました。禎子さんゆかりのモニュメントが各地にあり、広島に110カ国以上から折り鶴が寄せられていると知って、世界の人の関心が想像よりも高くて驚(おどろ)きました。相手に向かって自分たちの言葉で伝え、いつもとは異なる達成感も味わえました。

(2018年5月8日朝刊掲載)

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