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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 カンボジア研修に参加 内戦の傷痕に触れた

 広島女学院高(広島市中区)の研修プログラムで6日間、カンボジアに行きました。ポル・ポト派による独裁政権下、拷問(ごうもん)や虐殺(ぎゃくさつ)があった場所を訪問。刑務所(けいむしょ)として使われていたトゥールスレン博物館では、当時のままにしてある尋問(じんもん)室や独房(どくぼう)を見学しました。

 拷問で亡くなったまま床(ゆか)に放置された人の写真を見て、人はこんなにも残虐(ざんぎゃく)になれるのか、と信じられませんでした。生き残った人に、拷問ではがされた爪(つめ)の痕(あと)が残った足を見せてもらい、過去の事でなく現実として受け止められました。

 日本語学校や高校、大学も訪れました。日本の文化や、広島に落とされた原爆について説明。同時に、どうすれば平和な世界をつくれるか意見交換(こうかん)しました。日本語学校では「広島の人は米国を憎(にく)んでいるのか」と質問されました。被爆者から聞いた話を思い出し、「最初は米国を憎んでいたけど、今は戦争を憎んでいる」と答えました。どこの学校でも「人種や宗教で差別しない」という意見が出ました。日本語学校では「戦争が嫌(きら)いという気持ちをみんなが持つことが大事」と話し合いました。

 また、非政府組織(NGO)のカンボジア記録センター(DCC)のボランティアとも交流しました。DCCは政府公認で、内戦の記憶(きおく)を次世代に伝えるため中高生たちが対象の教科書を作ったり先生を指導したりしています。国全体で若い世代に記憶を伝える活動を積極的にしていて驚(おどろ)きました。

 カンボジアの人たちはみな、いつも笑顔を絶やさず親しみやすく、近所の人も家族のような付き合いをしていました。私たちは、日本の文化や風習を当たり前だと考えていましたが、世界の国には、それぞれの習慣や考え方があるとあらためて実感しました。今後も世界のさまざまな文化や風習に触(ふ)れ、価値観を共有したいです。(高2・佐伯雛子、山下未来)

(2015年5月4日朝刊掲載)

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