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ジュニアライター発信

広島で30日 中高生ピースマイルフェスタ 平和・復興 音楽で訴え

 30日に中国新聞ビル(広島市中区)で開かれる「中高生ピースマイルフェスタ」(中国新聞社主催)。午前10時~正午に催される音楽ステージに向け、鈴峯女子中・高吹奏楽部(西区)と安田女子中合唱部・高音楽部(中区)の生徒が練習に励んでいる。(増田咲子、二井理江)

 鈴峯中高は41人が出演。原爆をテーマに、美しい旋律と不協和音を組み合わせた約7分のオリジナル曲「広島の朝の歌」など7曲を奏でる。顧問の宇根岡俊二教諭(52)は「原爆の恐ろしさや悲しみ、復興に向けた希望を表現した曲を演奏して平和を訴えたい」と話す。

 フォークデュオ「ゆず」の「虹」は東日本大震災からの復興への応援の意味を込める。若者に人気のあるAKB48の「会いたかった」も披露する。

 吹奏楽部は2003~11年に3回、ウィーンで演奏会を開催。12年には、全日本吹奏楽コンクール中国大会で金賞を受賞した。部長で高校2年の田尾香菜芽さん(17)は「世界平和への願いを込め、被災地も応援したい」。

 安田女子中高は45人が出演。広島地方のわらべ歌「烏(からす)かねもん勘三郎」など4曲を歌う。本年度、中学合唱部は全日本合唱コンクール、高校音楽部は徳島県での国民文化祭に出場。実力ある歌声を響かせる。

 2校に加え、福島県の葵高(会津若松市)合唱部も出演、5曲歌う。最後は、3校と会場の参加者全員でSMAPのヒット曲「世界に一つだけの花」を合唱する。

ワークショップの講師たち

 ワークショップは、いじめや被爆証言、復興など七つのテーマで開く。参加者は車座になり、ジュニアライターの司会でざっくばらんに話し合う。福島県立葵高生らの発表が中心となる「フクシマの今」を除く、六つのワークショップのゲスト講師に狙いを聞いた。

▽世界とつながる

NPO法人ANT―Hiroshima(アント、広島市中区)代表 渡部朋子さん(59)
 自分の国以外に一人友達をつくると、新しい景色が見えてくる。そうすると、自分の知っている世界は、ほんの一部にすぎないことが分かる。そのことに気付いてほしい。未知の世界を探しに、一歩を踏み出そう。

▽いじめって?

広島市こども療育センター愛育園園長で精神科医師 西田篤さん(53)
 君はいじめている人? いじめられている人? 知らんぷりしている人? 誰もがいじめと無関係ではいられない。戦争は国家間のいじめだし、身近な問題に取り組むことが平和活動の第一歩。自分の立場で考え行動しよう。

▽私たちの2045年

NPO法人ひろしまジン大学(中区)学長 平尾順平さん(36)
 被爆から100年後の広島は、どのような街になっているのか。その時、皆さんは、どのように広島に関わっているのか。ワークショップを通して一緒に考えたい。2045年の世の中の中心は、中高生の皆さんの世代だ。

▽お好み焼きと復興

オタフクソース(西区)お好み焼き課長 新見改歴(かいれき)さん(47)
 お好み焼きは被爆からの復興のシンボル。「一銭洋食」が、復興とともに豚肉やそばの入った今の形になった。家庭では、ホットプレートを囲んで食べられる「だんらん食」でもある。笑顔を生むお好み焼きを通し、平和について考えよう。

▽平和の絵本をつくろう

日本児童文学者協会広島支部代表 三浦精子さん(76)
 原点はヒロシマ。今フクシマ。「ひばくする」点では一緒。両方のことを知った上で、実際に絵本をつくる。絵が上手下手ではない。絵が小さくて字がたくさんでもいい。世界で一つだけのオリジナルの本をつくろう。

▽記憶を受け継ぐ

広島の被爆者 川本省三さん(78)
 原爆の惨劇が再び起きないようにするためには、どうすればいいのか、自分自身の力で考えてもらいたい。世界中に友達をつくり、学び合うことも大切だ。国境のない世界をつくるため、みんなで手を取り合おう。

(2013年3月18日朝刊掲載)

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