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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「まっ黒なおべんとう」(児玉辰春文、長澤〓(やすし)絵)

突然失う母との日々

 主人公のしげるは8月6日、お母さんに作ってもらったお弁当を持って建物疎開(そかい)の作業に出かけました。そして、原爆の犠牲(ぎせい)になりました。しげるのお母さんは、たくさんの白骨の中にしげるの骨とまっ黒になったお弁当を見つけます。しげるが食べられなかったお弁当です。お母さんは、何事もなく空になったお弁当箱を持って帰ってくると思っていたはずです。しかし、まっ黒になって帰ってきたのです。

 私も毎日、当たり前のようにお母さんに作ってもらったお弁当を持って学校に行きます。そして何も考えることなく食べて、家に持って帰ります。そんな「当たり前」の日々が今日、突然(とつぜん)に途切(とぎ)れる、と考えたら…。

 しげるは、自分が死ぬとは考えていなかったと思います。私も自分が死ぬなんて想像できません。一発の原爆で死んでしまうことに恐怖(きょうふ)を感じました。日常生活が一瞬(いっしゅん)で奪(うば)われてしまう原爆は悲惨(ひさん)だとあらためて思いました。(中2溝上藍)

(2016年2月8日朝刊掲載)

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