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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「憲法九条を世界遺産に」(太田光・中沢新一著) 人類が持つべき理想

 お笑い芸人の太田光さんと思想家の中沢新一さんが、論議が激しい憲法改正について対談した本です。宮沢賢治の思想や武士道などいろんな角度から話が交わされていますが、その中で日本国憲法は突然(とつぜん)変異で出現したという発言がとても印象的です。

 日本国憲法は米国の先住民から続いている平和思想と、敗戦後の日本人の後悔(こうかい)や反省から奇跡的(きせきてき)に生まれたので人類の共有財産となりうる、というのです。ここを読んで、憲法9条を世界遺産に―という奇抜(きばつ)なアイデアにも納得できました。

 憲法9条がなくなると、日本は他国に対抗(たいこう)して核兵器(かくへいき)を持ったり、戦争に巻(ま)き込まれたりする危険性が高まるのではないかと怖くなります。

 確かに、憲法9条があるため他国から攻撃された時、抵抗(ていこう)の手段は少ないかもしれません。でも、この本にもあるように、戦争が絶えないこの世の中を本当に平和にしていくためには、憲法9条という理想を持ち続けることが大切なのではと思いました。(高1中原維新)

(2015年2月16日朝刊掲載)

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