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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「戦場のピアニスト」(2002年、ロマン・ポランスキー監督) 

相互理解へ善悪考える

 あるビルの一室。夕食を囲むユダヤ人の家に入ってきたドイツ兵。「立て!」と住人に命令しましたが、車いすの老人は立てません。兵士によって老人は車いすごと窓から投げ落とされてしまいました。私は思わず目を背けました。第2次世界大戦中に実際にあったユダヤ人迫害(はくがい)の話といいます。

 主人公はポーランドのワルシャワラジオ局のピアニストです。ユダヤ人というだけでナチス・ドイツから差別を受けました。奴隷(どれい)のように扱われ、逃(に)げ隠(かく)れする日々。周りの人の支えで生き延びることができました。

 人間の残酷(ざんこく)さと優しさ、偽(いつわ)り、家族愛、友情…。映画には紙一重で左右される人の運命が表されています。戦争の中で人はマインドコントロールされます。過酷(かこく)な状況では、自立心と正しい考えを持っていても、一人で行動を起こすのは難しいと知りました。

 だからこそ、私たちは悲劇を起こさないため、日頃から物事の善悪を考えて行動しなければいけません。今もテロで多くの命が奪(うば)われています。宗教、民族、国籍…背景の違いがあっても、互いを理解し合い、思いやりを持とうと誓いました。(中2プリマス杏奈)

(2016年2月29日朝刊掲載)

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