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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 世界をつなぐ歌「ねがい」 (三輪純永著)

幸せな未来を描こう

 大州中(広島市南区)の3年生の平和学習をきっかけに、15年前に生まれた歌「ねがい」は、インターネットなどを通して国内外で広がりました。4番までしかなかった原曲に5番以降の歌詞を作ろうという運動が起こり、これまでに2千番を超(こ)える歌が作られました。この本はその経緯(けいい)を紹介しています。

 僕は「もしもこの頭上に 落とされたものが ミサイルではなく 本やノートであったなら」という歌詞が印象に残っています。今でも、紛争(ふんそう)地域では、爆撃(ばくげき)の被害(ひがい)を受ける子どもたちがいる一方で、貧しくて学校に通えず、テロ組織に入って加害者となってしまう子どもたちがいます。

 この歌は、原爆について学び、考え続けてきた広島の中学生だからこそ作ることができたのだと思います。広島と長崎に投下された原爆による放射線や、ベトナム戦争でまかれた枯(か)れ葉剤(ざい)の影響(えいきょう)で、戦争が終わった後も長く苦しんでいる人がいます。過去の戦争でさえも、爪痕(つめあと)が人々の心や体に残り続けるのです。

 たとえ国や言葉が違(ちが)っても、平和への思いを共通のメロディーで歌い交わすことが、平和への一歩につながるのだと思います。幸せな未来を思い描(えが)いて、自分に何ができるのかを考えてみませんか。(中2岩田諒馬)

(2017年9月25日朝刊掲載)

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