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ジュニアライター発信

Peaceあすへのバトン 10年目のジュニアライター卒業生の今 大学生・見越正礼さん=広島市南区

医師目指し 病院で実習

 白衣を着ての病院での実習も2年目に入りました。時間が不規則で、朝6時に集合することもあります。手術見学で8~10時間立ちっぱなしのことも。「患者さん一人一人の暮らしまで考え、日夜会議している。朝から晩まで、人生の全てを注いでいる」。そんなふうに医師が患者に向き合う姿に刺激を受けています。

 中学・高校時代、特に医師になりたいわけではありませんでした。しかし、5歳上の姉が医学の道に入ったのを見て、人の役に立てる職業だと考えるようになりました。学び続けることがそのまま仕事につながる点にも面白みを感じ、医師になろうと決めました。

 大学5年の時に始まった病院実習。広島市民病院(中区)や広島大病院(広島市南区)などで40週間、内科や外科をはじめ28科を見学しました。6年の今は同病院や県立広島病院(同)などで2週間ずつ科を回り、外来患者の問診や入院患者の回診、手術などをより深く見学しています。

 実習で感じるのが、人から話を引き出す難しさです。質問をしてもほとんど答えが返ってこない人もいます。1時間以上かけて問診する場合もあります。

 「ジュニアライター時代にも、同じように難しさを感じた取材がある」。それは、アニメ映画監督の宮崎駿さんへのインタビュー。事前に考えてきた質問をしても、「抽象的な答えが多くて、話が難し過ぎた」。悔しさとともに、相手が話しやすいようにする大切さを実感しました。

 ジュニアライターがスタートした2007年1月当初からのメンバー。当時は中学2年で、高校3年の夏まで続けました。「しょっちゅう中国新聞社に行っていた。(09年に)自分たちで作った本『ひろしま国』の目次を見ただけで、すぐに内容を思い出せる」と言います。「年齢の異なる人たちと一つの目標に向かって活動する、貴重な体験だった」と振り返ります。

 医師も、看護師や放射線技師、作業療法士、理学療法士をはじめ多くの人とともに集団で動かないといけません。「ジュニアライターでの経験がきっと生かされる」と信じています。

 卒業後に広島県内で勤務する「ふるさと枠」制度の第3期生。高齢者や生活習慣病の患者を診る機会が増えそうなだけに、何でも診る総合診療医のスタンスで臨んでいます。

 「診てもらいたくなるような医者になりたい」。まずは10月の卒業試験、来年2月の国家試験に向けて、勉強に励みます。(二井理江)

「ひろしま国」
 ジュニアライターがスタートした2007年1月から12年2月まで月2回、中国新聞朝刊に掲載していた表裏2ページの特集面。107回続いた。うち創刊号から50号までをまとめた本「10代がつくる平和新聞 ひろしま国」(明石書店)が09年8月6日に発売された。

(2016年8月29日朝刊掲載)

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