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ジュニアライター発信

東北応援 フラワーフェスティバルで発信

 平和をテーマに取材・活動している中国新聞のジュニアライターは、今年も「こどもの日」の5日、ひろしまフラワーフェスティバル(FF)に参加した。3度目となる今回は、東日本大震災で被災した東北地方支援を考えるイベントをちゅーピーひろば(広島市中区)で開いた。題して、「ピースマイル・ウィズ・ジュニアライター」。福島県の高校生とインターネットテレビ電話で意見を交換。宮城県に贈る折り鶴メッセージボードを来場者と一緒に作った。(二井理江、増田咲子)

ジュニアライター、福島の高校生とテレビ電話

 

復興に向け意見を交換


 東日本大震災と原発事故からの復興や、平和について考えようと3月に開いた中高生ピースマイルフェスタについて、報告会を開いた。音楽ステージとワークショップの内容や、そこで何を得たかなどを発表した。

 小学6年から高校3年までのジュニアライター16人が参加。高2の寺西紗綾さん(16)は、被爆者の証言を聴いたり平和の絵本を作ったりするワークショップについて説明し、「被爆者が高齢化する中、私たちの世代が原爆や戦争の恐ろしさを伝えていきたい」と強調した。

 フェスタに出演した福島県立葵高(会津若松市)合唱部の部員と、インターネットによるテレビ電話で意見を交換した。部長で3年の佐々木奈央さん(17)と2年広瀬和奏(わかな)さん(17)が広島を訪れた感想を述べた。佐々木さんは「被災地の現状を発信することが大切だと実感した」。広瀬さんは「被爆後に復興した広島の人たちの力はすごい」と話した。

 それを基に、被災者のために何ができるか、約30人の来場者で考えた。ジュニアライターの高3秋山順一君(17)は「これからも広島と福島のつながりを続けていきたい。被災地で何が起きているかを正確に知り、一人一人ができることをしたい」と決意を述べた。

 最後に、来場者一人一人が、被災者のためにできることを色画用紙に書いた。「いつまでも忘れずに心に留め、共に歩んでいきましょう」「時には弱音を吐き、一人で抱え込まないで」など、それぞれがメッセージを記した紙を手で掲げた。

 参加した臼井隆さん(65)=中区=は「平和や復興支援について、若い世代がよく考えていて頼もしい。これからも、時代を担っていく責任を持ち、行動してほしい」とエールを送っていた。

宮城励ます伝言ボード 来場者と制作


 ジュニアライターの呼び掛けで来場者も参加し、東日本大震災による津波の被害や原発事故の影響を受けている宮城県農業高(名取市)へ贈るメッセージボード作りがあった。

 縦45センチ、横60センチの樹脂製ボードを使用。黄やオレンジ、緑の折り鶴に「一人じゃないよ」「希望を忘れずに」「頑張ろう」などのメッセージを書き込み、貼り付けていった。

 訪れた親子連れたち約200人が、ジュニアライターと一緒に作業した。小さい子どもは笑顔の絵を描いていた。約千羽の折り鶴をボードに隙間なく貼ると、「PEACE」「SMILE」の文字が浮かび上がった。

 「応援しています」と書いた広島市中区、中学1年富永吾郎さん(12)は「復興が遅れていると聞く。できることがあれば何か手伝いたい」と話していた。

 完成したボードは、25日午後1時から広島国際会議場(中区)で開かれる「核なき世界へ 広げようヒロシマ発信」シンポジウム(中国新聞社、ヒロシマ平和創造基金、広島国際文化財団主催)に参加するため、広島を訪れる宮城県農業高の生徒に手渡す予定。

平和願い「ピースマイル」撮影会開催


 「1000人のピースマイル」撮影会では、約50人の親子連れや子どもたちがジュニアライターの呼び掛けに応じた。ビデオカメラの前でピースサインをしたり、「みんなが笑顔でありますように」「広島から世界に平和の心を」などと、メッセージを話したりしていた。

 撮影した映像は、3月に開かれた中高生ピースマイルフェスタの会場や、その前に平和記念公園(広島市中区)で撮影していたものと一緒に、25日に広島国際会議場(同)で開かれるシンポジウムで上映する予定。

被爆者の話 初めて/交流を深められた/先輩を見習い自信/笑顔届いてほしい

 

FFに参加して


 東日本大震災で被災された人たちに広島のピースマイルが届いたらうれしいです。(小6・藤井志穂)

 小さな子どもからお年寄りまで被災地復興を願っていることが分かりました。(中1・岡田実優)

 被爆した川本省三さんが駆け付けてくれました。被爆者の話を聞いたのは初めて。平和、原爆という言葉の一つ一つが重く感じられました。(中2・正出七瀬)

 参加した人たちが最後まで真剣に話を聞いていて、やりがいを感じました。(中2・谷岡南実)

 チラシを配る時、道行く人にうまく話しかけられず戸惑いました。もっと積極的になりたい。(中2・見崎麻梨菜)

 葵高とのテレビ電話でピースマイルフェスタから始まった交流を深められました。次は、僕らが福島を訪問したい。(中3・岩田壮)

 平和メッセージになかなか協力してもらえませんでしたが、参加者の言葉には心がこもっていました。大事なのは数より気持ちだと実感しました。(中3・谷口信乃)

 被爆者の川本さんの話を聞きました。もっと被爆者と深く関わり平和を考えていきたい。(中3・松尾敢太郎)

 平和メッセージを頼んでもうまくいかず悔しかった。もっと平和について考えてもらえるよう活動していきたい。(高1・井口雄司)

 平和メッセージに協力してくれる人が少なかった。撮影用ブースを作ったら、もっと増えそうな気がします。(高1・河野新大)

 初参加で何をしたらいいか分からなかったのですが、先輩を見習ってやったら、通り掛かった人がメッセージボードを書いてくれ自信が付きました。(高1・了戒友梨)

 チラシを配るだけでなく、渡す人と目線の高さを合わせ、自分たちの活動を説明するのが大切だと感じました。(高2・神安令)

 塗り絵コーナーにいた人たちが、折り鶴メッセージを快く書いてくれました。この気持ちが現地の人たちに届いて笑顔になってほしいです。(高2・国本颯稀)

 被災地へ贈るメッセージを、恥ずかしがって書いてくれない人が多かった中、参加してくれた人に感謝します。(高2・寺西紗綾)

 葵高の生徒がテレビ電話で「広島のお好み焼きが好き」と話していました。好きな物を共有できてうれしかった。(高3・秋山順一)

 メッセージボードを笑顔で書いてくれる人がたくさんいて励みになりました。この笑顔が宮城にも届いてほしい。(高3・城本ありさ)

 僕にとって最後のFF。葵高とのテレビ電話を問題なくできて良かったです。(高3・田中壮卓)

(2013年5月6日朝刊掲載)

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