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ジュニアライター発信

NPO法人「千羽鶴未来プロジェクト」 文具に再生 国際貢献も

 NPO法人「千羽鶴(せんばづる)未来プロジェクト」(広島市中区)は、平和記念公園(同)内の慰霊碑(いれいひ)などにささげられた折り鶴を再利用しています。再生紙にしたうえでノートやメモ帳に加工し、同公園のレストハウスなどで販売(はんばい)しています。ことし8月6日の元安川でのとうろう流しの紙としても使われます。

 雨ざらしになっていた「原爆の子の像」(同)の折り鶴を無残だと感じた事務局長の吉清(よしきよ)有三さん(64)たちが2002年10月に設立。広島だけではなく、長崎の原爆や、沖縄戦、高知の空襲(くうしゅう)などによる被害者の慰霊碑に手向けられた鶴も使ってきました。

 12年春からは、広島県内の障害者作業所が平和記念公園の千羽鶴を解体し、再生商品を販売する「ファクトリー構想」を開始。現在は20の作業所が参加しています。

 解体作業は「年齢(ねんれい)や障害の有無にかかわらず助け合ってできる」と小学生や大学生らとも一緒(いっしょ)にします。平和学習として修学旅行生が加わることもあります。商品を売ることで障害者の就労支援(しえん)にもつながるそうです。

 再生ノートやボールペンは、カンボジアやアフガニスタンなど戦災からの復興を目指す国にも届けています。「贈(おく)られた人だけでなく、贈った人がその国に興味を持ち、知ろうとすることにも意味がある」。理事長の重松まゆみさん(64)はそう話します。

 今後、地雷(じらい)で足をなくした子どもに義足(ぎそく)を贈るなど、復興を直接手助けしたい、と夢は膨(ふく)らみます。(高2・石井大智、小6・藤井志穂)

(2013年6月11日朝刊掲載)

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