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ジュニアライター発信

震災被災地訪ね命の大切さ実感 クラスでツアー参加報告 ジュニアライターの中野さん

 平和な世界を目指して取材・活動している中国新聞ジュニアライターで三津田高1年の中野萌さん(15)=呉市=が、東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市を訪れ、目の当たりにした現状をスライドを示してクラスで報告し、「被害の大きさと命の大切さを忘れないで」と訴えた。

 陸前高田市へは、光学機器メーカーのオリンパス(東京)など主催のスタディーツアーに応募し、全国の高校生10人と8月20~22日に訪問。被災状況や復興の様子を見て回った。

 クラスメート39人には、ホームルームの時間を使って教室で話した。自ら撮影した道の駅の建物や市営住宅の画像を見せながら、津波の襲った高さや今も残る爪痕を説明。唯一耐えた「奇跡の一本松」については、希望の象徴ではなく、被害の証しにしか見えないとの声を紹介し、変わり果てた町に対する被災者の複雑な思いを代弁した。

 被害を受け継ぐため津波の到達点に桜を植えるNPO法人の活動や、特産のカキを育む三陸の海を通して、防災意識の大切さや変わらない自然の美しさも伝えた。中野さんは「背景は違うが、広島も震災被災地もつらい経験をしたのは同じ。伝えていくことで、被害の再発を防げるのではないか」と話していた。

 熱心に聞いていた杉村真奈さん(16)は「現地に行った人の話を直接聞くのは初めて。良い経験になった。まずは知ることが大切だと思った」と感想を述べた。

 中野さんは昨年、大震災被災地を中学生が取材する東北3県の地方紙主催のプロジェクトに参加。事故を起こした東京電力福島第1原発に近い福島県南相馬市を訪れた。復興の進まない被災地の様子を「平和」のページに書いたが、報告会などで多くの人に伝えることはできず心残りがあった。今回は、校長や担任に相談し、実現にこぎ着けた。(山本祐司)

(2014年10月13日朝刊掲載)

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