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ジュニアライター発信

平和への願い 海外と共有 ジュニアライター、理解深める

 平和をテーマに取材や活動をしている中国新聞ジュニアライターは8月、ルワンダとインドの中高生や、米国の中学教諭と、インターネットのテレビ電話を使って意見交換したり、直接会って交流を深めたりした。69年前の「あの日」の出来事をはじめ、互いの国の悲劇や歴史、文化を学び、夏休みのひととき、平和についてじっくり考えた。

歴史教訓 歩むべき道確認

 

ルワンダの高校生らとテレビ電話


 ルワンダの首都キガリとは、インターネットのテレビ電話を通して、原爆やルワンダ大虐殺について学び合った。ジュニアライター11人が、現地の高校生や被爆地広島出身の青年海外協力隊員と、平和をいかに実現していくかについて意見を交わした。

 キガリであった原爆展の一環。約60人が集まった会場からは、ガヒニ中高等学校5年のンクリィンゴマ・アイバン君(17)が発言し、展示を見たり原爆について学んだりした感想を伝えた。「生存者は過去の出来事を語り継ぎ、私たちがいかに生きていくべきかを教える唯一の存在。世界の指導者は軍事力の増強ではなく、教育によって世界を発展させてほしい」と訴えた。

 「広島に原爆が落とされたことを知っていたか」とジュニアライターから聞かれると、「どういった経緯で原爆が落とされたのかや放射線による被害について学校で学んだ」と述べた。

 逆にルワンダ大虐殺については、「民族の対立は今もあるのか」とジュニアライターが質問。現地の高校生は「(対立は)現在はなく、一丸となって平和に向かっている」と答え、課題を抱えながらも対話を通じて和解を目指して努力していると強調した。

 ルワンダに派遣され、活動している青年海外協力隊員の小山希さん(30)=広島県府中町出身=は、現地での原爆展の反応を紹介。「原爆も虐殺も、大勢の人が亡くなり、生き残った人たちも心に傷を負った。それでも人々が平和に向かって歩いている点で似ている。そんな感想を展示を見た人たちは持っている」と説明した。

 ジュニアライターの高校1年、二井谷栞さん(15)は「虐殺についてはあまり知らなかったので、もっと深く勉強したい。広島の復興した経験を海外にも伝えて、よりよい未来を築いていきたい」と話していた。(山本祐司)

ルワンダ大虐殺
 アフリカの小国ルワンダで、多数派フツ人が、長年対立していた少数派ツチ人を大量に殺害した。1994年4月6日、フツ人のハビャリマナ大統領たちが乗った航空機が首都キガリで撃墜されたのをきっかけに、フツ人主体の政府軍や民兵が同年7月までの約100日の間、ツチ人やフツ人穏健派たち80万~100万人を殺害したとされる。

ヒロシマ 印に伝えたい 中学生招き「集い」

 

本紙連載や折り鶴を説明


 インドとの交流は、最南部ケララ州の女子中学生5人を招いて、中国新聞社(広島市中区)で集いを開いた。文化交流を通じて広島の子どもたちの平和への思いを知ってもらうのが狙い。

 縁を取り持ったのは、市民グループ「インドチャイ倶楽部(クラブ)ひろしま」のジェームス・ジョーセフ代表(57)=広島県海田町。5人が通う中学で原爆展を開くなどして、母国インドでヒロシマを伝える活動を続けている。今回、6日の平和記念式典に合わせて中学生の被爆地訪問をお膳立てした。

 ジュニアライターは9人が参加。被爆者に体験を聞いて自らの感想をつづる連載「記憶を受け継ぐ」などの担当記事について説明した。中学3年の山田千秋さん(14)たちが「平和を願うさまざまな取り組みを発信し続けたい」と英語でスピーチした。

 折り鶴の折り方も手ほどき。あやとりなど日本の伝統的な遊びも紹介しながら、言葉の壁を乗り越えて交流した。インドの生徒は即興で民族舞踊を披露し、雰囲気を盛り上げた。

 中学2年の上岡弘実さん(13)は「お互いの文化に関心を持つことがまずは大事だと思った。この日をインドへの理解を深めるきっかけにしたい」、シバカミ・ナヤールさん(15)は「ジュニアライターは取材を通して平和でよりよい社会をつくろうとしている。若い世代の力を知った」と話していた。(金崎由美)

学習方法違い学び「今後の交流期待」

 

NY中学教諭夫妻と意見交換


 米ニューヨークの中学教諭とは、第2次世界大戦に関する学習について意見を交換した。日米での教え方の違いを知るとともに、ニューヨークの生徒との交流も進める意向を確認した。

 原爆の日に合わせて広島を訪れたのは、歴史を教えるアンバー・マローンさん(38)と夫で英語教諭のギャリー・マローンさん(40)。中学2年~高校2年のジュニアライター4人は、小学校で8月6日に千羽鶴を折ったり、被爆ピアノの演奏を聴いたりした平和集会や、旧日本軍によるアジアへの加害の歴史を学ぶ中学校での授業など、それぞれの経験談を話した。学校で使っている教科書も見せた。

 マローン夫妻によると、米国では第2次世界大戦ではヒトラーやホロコースト(ユダヤ人大虐殺)について詳しく学ぶ一方、原爆については製造、投下して戦争が終わった、といった程度しか習わない。平和教育はない、という。

 「面と向かって聞いた被爆者の話は衝撃的だった。録画したので生徒たちに見せたい。そしてジュニアライターと子ども同士で交流できればうれしい」とアンバーさん。高校2年河野新大さん(17)は「海外での平和学習について関心があったので、話を聞いて興味深かった。交流を楽しみにしている」と話していた。(二井理江)

(2014年8月18日朝刊掲載)

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