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ジュニアライター発信

Peace Seeds~10代がまく種~ <7> 8・6アンケート 「平和のためにできること」 心ハートに抱く私の決意

 ジュニアライターは、広島に原爆が落とされた6日、平和記念式典が催(もよお)された平和記念公園(広島市中区)を訪れていた小学生から90代までの国内外222人(国内195人、国外27人)に、平和に関するアンケートをしました。

 公園を訪れた理由や感想、日本は平和に向かっているかどうかを質問。また「平和のために自分ができること」を、ピンクと黄色の画用紙に書いてもらい、写真を撮影(さつえい)しました。

 8月6日に被爆地広島で過ごして感じたことを、それぞれの生活の中で育み、伝えていってほしいと願っています。

 戦争や原爆についてそれぞれが考えることが大切だ、という意見が目立ちました。東京都多摩市の中学2年芦沢(あしざわ)美優さん(13)は「戦争を過去のものと片付けず、きちんと戦争に向き合っていく」と書いています。

 世界にヒロシマのメッセージを広めたいという声も多くありました。インドネシアから来たスティーブン・ジュニアさん(21)は「地元で広島や長崎について話し、戦争はただ苦痛をもたらすだけだと伝えたい」と記します。「他人に偏見(へんけん)を持たない」とドイツから訪れた、日本の高校3年に当たるリア・ヴォルフスさん。広島市安佐南区の高校2年松村明莉(あかり)さん(17)は「一人一人が相手を思いやる」と大きく書いていました。(高3石井大智)

平和記念公園に来た理由と感想

「原爆は ものすごい力」

 「原爆で亡くなった方の追悼(ついとう)」「原爆について知るため」といった理由が多く、「平和の大切さ、守る重要性を意識した」などの感想が寄せられました。愛知県一宮市の小学4年山田康晴(こうせい)君(10)は故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」を読んで来ました。「原爆ドームはボロボロだったから原爆はものすごい力だと感じた」そうです。

 福岡市の主婦大谷祥子さん(39)は、福岡は広島より原爆や戦争の風化が進んでいると感じ、継承(けいしょう)していく大切さをあらためて認識したそうです。英国から訪れたジャスティーン・フェッシュさん(26)は原爆の被害に驚き、広島の人々に敬意の念を抱(いだ)きました。(高3市村優佳)

日本は平和に向かっていると思いますか

「思わない」53・2% 日本人に多い傾向

 「思う」と答えた人は222人中86人(38・7%)、「思わない」と答えた人は118人(53・2%)、無回答などその他が18人(8・1%)でした。外国人は「思う」、日本人は「思わない」と答える傾向(けいこう)がありました。

 「思う」と答えた人は、日本は69年間戦争していないから、という意見が多く見られました。スウェーデンから来た高校2年エミル・レフレルさん(18)は「原爆の悲惨(ひさん)さを世界に発信しているから」と答えています。若い世代の平和運動に期待する声や、日本だけで考えれば平和であるという意見もありました。

 「思わない」と答えた人の約9割は、憲法解釈(かいしゃく)の変更(へんこう)による集団的自衛権の行使容認など現政権への不安を理由にしていました。その他、領土問題に伴う韓国、中国との関係悪化を理由にする人もいれば、いじめがなくならないからと身近な問題を挙げる人もいました。江田島市の高校2年松本萌(めぐみ)さん(16)は「人の考えに流され、自分で考えられない人が多い」と指摘(してき)しています。(高3木村友美)

 このページは、高3・木村友美、市村優佳、石井大智、高2・河野新大、了戒友梨、平田智子、高1・松尾敢太郎、岩田壮、谷口信乃、中野萌、中原維新、上原あゆみ、岡田春海、河田紗也加、二井谷栞、鼻岡舞子、林航平、福嶋華奈、森本芽依、山下未来、中3・坪木茉里佳、溝上希、中2・上岡弘実、中川碧、中1・藤井志穂、平田佳子の26人が担当しました。それぞれの感想をまとめた編集後記は、ヒロシマ平和メディアセンターのウェブサイトで見られます。

(2014年8月12日朝刊掲載)

「アンケートを通じて感じたこと」 by ジュニアライター

 「平和のためにできること」を尋(たず)ねたら、「笑顔」という答えが返ってきたのが印象的でした。私も早速実行したいです(中1藤井志穂)

アンケートを通じて、いろいろな意見があるのを知りましたが、核兵器を無くしたいという思いは一緒なのだと、強く感じました(中1平田佳子)

 平和記念式典に初めて参加し、多くの人々が来ておられるのに驚きました。平和について深く考えている人も多く、とても刺激を受けました(中2上岡弘実)

 わざわざ遠くから来た人が多かったのが、印象に残りました。広島への関心や核廃絶の気持ちが強いのを感じて、うれしかったです(中2中川碧)

 久しぶりの平和記念式典でした。外国からの方々が増え、広島への関心の高まりを感じました。私たちも頑張ろうとあらためて決意しました(中3坪木茉里佳)

 意見を聞いた人々に共通していたのは、世界平和への強い願いでした。私たち10代が、そのために何ができるか考えさせられた一日でした(中3溝上希)

 数多くの外国の方が、この日のために広島に来ていました。「平和都市広島」をさらに広く世界へアピールする必要性を感じました(高1岩田壮)

 初めて平和記念式典に参加しました。小学生から90代のお年寄りまでさまざまな世代の人が、平和のために祈るのを見て感動しました(高1上原あゆみ)

 初めての平和記念式典でした。祈る人やデモをする人など、みんな平和について熱心に考えているのだと、新鮮な驚きを感じました(高1岡田春海)

 アンケートの際、自己紹介すると、「いつも、読んでいるよ」と何人かが言ってくださいました。とても力づけられました(高1谷口信乃)

 式典がイベント化していると訴えた人もいました。でも、私は式典に参加し、平和への思いを強くしたので、複雑な気持ちになりました(高1中野萌)

 アンケートではやはり、集団的自衛権に不安を持つ人がたくさんいました。僕も勉強を重ね、今後の日本についてより深く考えたいです(高1中原維新)

 平和を実現するのは無理だ―といった回答があってショックを受けました。もっと私自身の考えを深めていかなくてはと感じました(高1二井谷栞)

 アンケートで、日本が平和ではない方向へ向かっているという回答が多かったのに驚きました。私にとっても、大切なテーマです(高1鼻岡舞子)

 外国の方にもアンケートし、広島に強い関心を持っているのを知りました。うれしく思うとともに、さらに広く伝えていきたいと感じました(高1林航平)

 アンケートの中で「今の平和をどうしたら守れるか、みんな真剣に考えていかなくてはならない」と強調した人がいて、共感しました(高1福嶋華奈)

 若い方々の平和への関心の低さが気になりました。同世代も含め、どうしたら関心を高めてもらえるかこれからの課題にしたいです(高1松尾敢太郎)

 「平和に対し何ができるか」と質問すると、「君たちの考えは」と逆に聞いてきた人がいました。勉強して自分の意見を持ちたいです(高1森本芽依)

 雨にもかかわらず、90代の方をはじめ多くの方々が平和記念式典に参加された姿に感動しました。私自身も力づけられた気がします(高1山下未来)

 5回目の平和記念式典取材でしたが、アンケートに回答する高齢者が年々減り、僕たちの世代がいよいよ頑張らなくてはと感じています(高2河野新大)

 外国の方を含め、初めて聞いた意見も多く、私自身がこれから平和について考える上で、とてもよい刺激になりました(高2平田智子)

 アンケートに快く協力してくれた人や、真剣に受け止め激励してくれた人もいて、平和の問題を勉強していく上で大きな弾(はず)みになりました(高2了戒友梨)

 今回は多くの英語のアンケートを翻訳(ほんやく)しました。字に個性がある分、内容もそれぞれ個性があり、興味深いアンケートになりました。(高3・石井大智)

 戦争の風化が叫ばれていますが、雨の中、式典への参列者は多く、広島から平和を訴えていく力は依然(いぜん)として大きいと感じました(高3市村優佳)

 式典で同世代の高校生が堂々と意見を述べる姿に刺激を受けました。5年間のジュニアライター経験を踏まえ、平和の意味を考え続けます(高3木村友美)

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