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ジュニアライター発信

米映画「リトルボーイ」を鑑賞

 広島市中区で14~16日に開かれた広島国際映画祭で、来年2月に米国で公開される予定の米映画「リトルボーイ」が世界初公開された。広島への原爆投下など第2次世界大戦を題材に、戦場に行った父を無事に連れ戻そうと奮闘する幼い男の子と、その家族の物語。平和をテーマに取材・活動している中国新聞ジュニアライターも観賞し、感想をつづった。会場と米国をインターネットと電話で結んで実施したアレハンドロ・モンテヴェルデ監督のトークショーでも質問をぶつけた。

終戦喜ぶシーンに共感

 兵士になれなかった兄に代わって戦争に行き、日本軍の捕虜になった父親が戻ってくるのを信じ続けた主人公の少年。牧師の教えを一生懸命守って自分を変えていこうとする姿に感動しました。

 主人公に感情移入するうち、広島に原爆が落ちて主人公や町の人たちが「お父さんが帰ってくる!戦争が終わる!」と喜ぶシーンに共感してしまいました。広島に住んでいるとつい原爆の被害ばかり意識してしまうけど、米国の人たちは、こんな気持ちだったのだろうかと想像しました。

 監督は「戦争は悪だ」と強調していました。世界中の人がこの映画を見て平和を願い、行動してほしいです。(高1鼻岡舞子)

戦争 互いを傷つける

 米国側から見た戦争の一部分に触れたように思います。映画の中に、原爆投下を知らせる新聞を見た米国の人々が歓声を上げるシーンがあり、原爆投下によって戦争が終結したという肯定的な意見があることを実感しました。

 また、米国人と日本人の両方を登場させることで、戦争をした時に傷つく国は一つではないと強く感じました。

 この映画を見て、戦争をまた新たな角度から考えることができました。トークショーで監督も話していたように、戦争がいいものを生むことはないと、あらためて感じました。(高1山田杏佳)

 広島に原爆が落とされたというニュースを知って、町の人々が喜んでいるシーンが印象的でした。特に、戦争に駆り出された父親の帰りを待つ7歳の子ども(主人公)が「これで父親が帰ってくる」と無邪気に喜ぶ姿に、ショックを受けました。

 人が殺されることを喜ぶような社会に、幸せな生活はありえないと感じます。武器を使うことなく、他国や、異文化の人々と良好な関係を築いていくには、具体的にどうするべきかを考える必要があると思います。(高1二井谷栞)

 第2次世界大戦中、戦場に行った父親が帰ってほしいという一心で牧師から渡された、やるべきことのリストを一生懸命にこなしていく主人公のペッパー君がとても健気でした。

 そのリストの中に、戦争相手国の「日本人と友達になる」というのがありました。それを新たにリストに付け足した牧師は、聖書にある「敵を愛しなさい」という部分を引用したのだと思います。

 でもいくら聖書に書いてあるからといって憎むべき相手を愛せる人は少ないのに、7歳のペッパー君が実践し、願いが届いたのはよかったです。(高1岡田春海)

 主人公の子どもが、戦争に行った父親に早く帰って来てほしくて頑張る、直接何かができるわけではないけど、ひたすらに信じ続ける、そんな一生懸命な姿に感動しました。父親のためにした方が良いと牧師にアドバイスされた「日本人と友達になる」という、その当時の米国人にとっては信じられないことを父親のために頑張ったところが特に印象に残りました。(中3坪木茉里佳)

 この映画を見て、あらためて戦争の悲惨さを感じました。第三者のしかも、7歳の男の子の目線から話が展開します。なぜ、戦争に直接関わっていない第三者の、しかも幼い男の子の目線から映画を作ったのか疑問に思い、(インターネットと電話による上映会会場での監督のトークショーで)、質問しました。すると、子どもは信じることしかできない、ただ、誰かや何かを憎んでいたら、信じていることは叶うことはないと言っていました。戦争の愚かさだけではなく、憎しみを捨てることの大切さも学ぶことができました。(中3山田千秋)

 最初に「リトルボーイ」と聞いて原爆を思い出しました。だから、主人公が小さな少年と知って驚きました。一度に一つの都市を消せる核兵器についた無邪気な名前。いびつに感じました。

 この映画は、第2次世界大戦のころの米国を舞台にして、7歳の少年ペッパーが、戦場に行ったお父さんを助けようとする話です。一番心に残ったのは、ペッパー君と米国に住む日本人「ハシモト」さんとの友情です。二人は、それぞれ警戒しながら仲良くなっていきます。戦時中、日本人は米国人を、米国人は日本人を迫害しました。互いに分かり合おうともせずに苦しめ合う。これが戦争だと思いました。ペッパー君とハシモトさんのように、互いに認め合い、一人の人間として付き合うことが大切だと思いました。(中2上岡弘実)

(2014年11月24日朝刊掲載)

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