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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 東京のピース・ボランティア楢原さん

体験語り継ぐ「懸け橋」に

 東京に住む会社員楢原泰一(ならはら・やすかず)さん(38)は、原爆資料館(広島市中区)を案内する約190人いるヒロシマ・ピース・ボランティアの一人です。百貨店勤務(きんむ)の傍(かたわ)ら、メンバーの中では最も遠くから毎月参加。どんな思いで活動しているかや、目標について聞きました。

 東京都出身。大学1年の時、平和学習で初めて訪(おとず)れた広島で被爆証言を聞いたのが、広島と関わるようになったきっかけです。その時、「この悲しい出来事を語り継いでほしい。皆さんも、平和のために何かに取り組んでください」と被爆者からお願いされました。

 「自分にできる事をやってみる」と答えて以来、毎年8月6日に広島を訪問(ほうもん)。平和に関する勉強会にも参加してきました。しかし、「自分が学んでいるだけで『語り継ぐこと』ができていない」と思うようになりました。そんな時、ある勉強会でピース・ボランティアについて聞き、すぐに応募(おうぼ)。2009年から活動を始めました。

 資料館を案内する時は、事実を正しく説明するのはもちろん、被爆者の思いを伝えるよう心掛(こころが)けているそうです。例えば、原爆孤児(こじ)についてのパネルでは、親を亡(な)くした被爆者から直接聞いた話を織り交ぜます。子どもたちには、「自分が同じ状況(じょうきょう)に置かれたらどう感じますか」と問い掛け、自分の身に置き換(か)えて原爆の悲惨(ひさん)さを想像してもらうよう努めています。

 今後の目標については、「広島と東京の懸(か)け橋になること」と言います。平和学習でどこを回ったらいいかアドバイスしたり、資料館の分館のようなものを東京につくったりしたいそうです。

 被爆者との約束を中途半端で終わらせないため、活動を続ける楢原さん。決意がひしひしと伝わってきました。私も、被爆体験を直接聞ける最後の世代として、被爆者の思いを受け止め、周りの人に伝えていきたいです。(小6・藤井志穂)

(2014年1月13日朝刊掲載)

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