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ジュニアライター発信

ジュニアライター この一作 「朝の別れを ヒロシマ、母と子の物語」(大野允子著) 思いやりの大切さ学ぶ

 原爆が落とされてから戦後にかけての母と娘の話です。主人公ミチは、学徒動員で電話局に向かう途中(とちゅう)、被爆しました。ミチのお母さんは家が焼け自分もけがをしているのにミチを見つけ、救い出します。ミチのためなら自分の命は惜(お)しくないと言います。

 幼い時に遭(あ)った地震(じしん)を思い出しました。本棚(ほんだな)が倒れてきた時、母は昼寝(ひるね)していた私に覆(おお)いかぶさりました。子どもを守ろうとする強い気持ちは、ミチのお母さんと同じでした。

 ミチはお母さんの看病もあって元気になります。原爆を落とした米国を憎(にく)んでいましたが、お母さんの勧(すす)めで、顔のケロイド治療(ちりょう)のため米国に渡(わた)ります。手術は成功し、本来の明るい性格を取り戻しました。ミチは「憎むべきは戦争であって人間ではない」と語っています。

 私も、嫌(いや)なことをされたら、その人のことを悪く言ってしまいます。しかし、なぜその人がそんなことをしたのかを思い、感情的にならず、落ち着いて物事を考えられる人になりたいです。(高1河田紗也加)

(2015年1月12日朝刊掲載)

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