×

ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「秘密のスイーツ」(林真理子著) 戦時中の人々を思う

 お菓子(かし)が大好きな理沙(りさ)は、過去にいる人とやりとりができるタイムトンネルを見つけます。そのトンネルを通じて、戦時中に生きる雪子と知り合います。彼女と関わるうちに、まずくて吐(は)き出(だ)してしまうような「蒸しパン」をおやつに食べている、戦時中の食の実態を知り、少しずつ食べ物に対する態度を変えていきます。

 そんな理沙を見て思い出すのは、学校の授業やテレビで何度も聞いた「戦争という過去を人ごとにせず、これからも考えていきましょう」というフレーズです。これまでは、戦時中の人々の経験を自分の事のように捉(とら)えられるわけがないと思っていました。しかし、戦争を追体験しろというのではなく、「戦時中に生きた人たちを考えた時、自分はどうするかを意識して生活しよう」という意味だったと気づかされました。

 食べ物の好(す)き嫌(きら)いが多く、次々にアクセサリーや漫画(まんが)を買う私の生活は、雪子から見ればひどい浪費(ろうひ)に映るはず。ハッとさせられました。今は、服や文具は最後まで大事に使おうと心掛(こころが)けて生活しています。(高2上原あゆみ)

(2015年8月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ