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ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 被爆体験継承 役割学んだ 広島県被団協などがフォーラム

 被爆者と若い世代が、被爆体験をどう受け継いでいくべきかを話し合う記念フォーラム「ヒロシマを、つなぐ。」が、広島市中区の広島国際会議場で開かれました。被爆者団体の広島県被団協(ひだんきょう)(坪井直(つぼい・すなお)理事長(りじちょう))と労働組合の団体である連合広島が主催(しゅさい)し、市民約400人が一緒に考えました。

 広島県被団協が被爆70年に合わせて、こうした場を持つのは、4月に続き2回目。今回は、被爆者3人と、核兵器廃絶のため署名活動をしている中高生や、被爆者と交流している大学生、被爆2世たち7人がパネル討論をしました。

 平和記念公園でボランティアガイドをしている村上正晃(まさあき)さん(22)は「惨劇(さんげき)を見ていない自分が被爆体験を伝えていいのか、葛藤(かっとう)している。だが、広島を訪れる人を被爆者とつなぎ、体験を聞くきっかけをつくることはできる」と述べました。

 元原爆資料館長の原田浩さん(76)たち被爆者は「70年が過ぎた今もまだ、ほとんどの人は口を閉ざしている」「つらすぎて体験の全ては語れない人もいる」と打ち明けました。私たち若い世代は、「聞かせてほしい」と被爆者に誠意を持って働きかけ、心を開いてもらう努力をすべきだと思いました。

 最後に、広島大4年の福岡奈織(なお)さん(22)は「核兵器廃絶のために私たちができることは何か」と問いました。県立広島高2年の片山実咲(みさき)さん(16)は「自分で学ぼうとするだけで終わらず、身近な人に伝え、語り合うことが大切だ」と強調しました。

 「被爆者の方々の魂(たましい)の叫び」と題した広島平和文化センター理事長の小溝泰義(こみぞ・やすよし)さんの講演もありました。外交官としてオーストリアにある国際原子力機関(IAEA)に勤めた経験があります。「核兵器のない世界の実現を被爆者に必ず報告できるよう力を尽くさなければならない」と語り、各国政府を動かすのは市民の役割だ、と訴えました。

 被爆体験を私たちが完璧(かんぺき)に理解し伝えることはできません。しかし被爆者一人一人の、その人だけの体験を丁寧(ていねい)に聞くことから始めたいです。「ヒロシマを、つなぐ。」というテーマに込められた思いでもあるはずです。(高2谷口信乃、高1山本菜々穂)

(2015年7月20日朝刊掲載)

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