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ジュニアライター発信

佐々木禎子さんモチーフの短編「折鶴」 広島国際映画祭で初公開

 広島市中区で20~23日に開かれた広島国際映画祭で、「原爆の子の像」のモデルになった佐々木禎子さんをテーマにした短編映画「折鶴~Orizuru 2015~」が初めて公開された。現代の米国ロサンゼルスを舞台に、日本から引っ越してきて学校になじめない男の子が、平和を願って鶴を折った禎子さんの思いを知って一歩踏み出す勇気をもらう物語。平和をテーマに取材・活動している中国新聞ジュニアライターも鑑賞し、感想をつづった。

 上映後には、米国在住の曽原三友紀監督や、主人公役を務めた曽原監督の長男らのトークショーがあり、作品の狙いや苦労などを語った。監督の友人で娘が映画に出ている宇宙飛行士、山崎直子さんからのビデオメッセージも紹介された。

願い伝えるかけ橋に

 佐々木禎子さんのお兄さんが米国ハワイの平和式典で主人公の少年さとしに、禎子さんの折った鶴を渡す場面が印象的でした。お兄さんは「必要でなくなったら、必要としている人に預けて」と言って託します。

 その折り鶴がきっかけで、さとしはクラスメートと千羽鶴を折ります。折った鶴は、禎子さんの鶴と一緒に、大統領のいるホワイトハウスに送られました。

 禎子の折り鶴が今、平和への願いを日本から世界へ伝えていくかけ橋となっています。とてもすばらしいことだと思いました。(中2岡田日菜子)

平和への思い 米でも

 最も印象に残ったのは、主人公の少年さとしが折り鶴を通して、文化や習慣など米国と日本との違いを乗り越えていく場面です。ハワイで開かれた平和式典で、佐々木禎子さんが最後に折った鶴を禎子さんの兄から受け取りました。

 そのことで、主人公を取り巻く状況が変化していきます。平和を願う気持ちは、米国でも変わらないのだと思いました。

 これからも折り鶴を通して、平和を願う気持ちが世界中のたくさんの人たちに広がってほしい。この映画を見て、そう強く思いました。(中3中川碧)

 僕が一番印象に残ったのは、上映後に見た宇宙飛行士、山崎直子さんからのビデオメッセージでした。特に「国境を越えた友情と平和」という言葉です。

 「地図には国境が描いてあるけれど、本当の地球には描いてない」。そのことも、とても感動的でした。映画の中でも、平和を願う佐々木禎子さんの思いが、ちゃんと主人公に伝わっていました。

 ジュニアライターの活動で、いろんな外国人と話をしました。今回、山崎さんが伝えていた「世界には国境がなく、心は一つ」という考えも加えて、これからも活動していきたいです。(中2川岸言統)

 主人公は、日本軍による真珠湾攻撃の生存者引率のため、米国ハワイであった国際平和デーの式典に参列します。そこで、佐々木禎子さんの兄から禎子さんが折った鶴を手渡されます。その時、「怒りや憎しみを感じていては駄目。つらい中でも思いやりが大事だと私は禎子から教えてもらいました」と聞かされます。印象的な場面でした。

 監督によると、主人公役の少年は「米国の大統領になり、核兵器を廃絶したい」と言っていたそうです。遠い米国に住んでいても、歴史にしっかり目を向け自分の考えを持っていることを頼もしく思いました。(中2鬼頭里歩)

 佐々木禎子さんの折った鶴が、米国の子どもたちの千羽鶴と一緒に、大統領のいるホワイトハウスに贈られ、クリスマスツリーに飾られているシーンが印象的でした。

 上映後のトークショーのために、ビデオメッセージを送ってくださった宇宙飛行士、山崎直子さんの言葉「鶴は想(おも)いをつなぎ、国境を越える」との言葉もよく覚えています。

 折り鶴を通して、平和を願う気持ちが届き、国と国をつなぐと思うと、とても感動しました。(中2藤井志穂)

(2015年11月30日朝刊掲載)

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