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ジュニアライター発信

Peaceあすへのバトン 10年目のジュニアライター卒業生の今 大学生・木村友美さん=東京都

負の記憶 世界で考える

 疑問に思ったことを、自分の目で確かめたい。そんな思いで今夏ルワンダへ行きました。その後はインドへ。さまざまな土地へ出向き、いろいろな人と出会い、感じ取る大切さを体感しています。

 ルワンダについての疑問。それを感じたのは、高校3年の夏、ジュニアライターとしてルワンダの高校生とテレビ電話で交流した時でした。

 ルワンダ大虐殺について「民族の対立は今もあるのか」と質問したところ、現地の日本人スタッフが「今はどちらの部族もいるから話せない」と言ったのです。大虐殺から20年たち、和解が進んでいると思っていたのに、若い世代にも話せない空気があるんだ…。衝撃でした。

 大学に入り、現地のキリスト教系の非政府組織(NGO)で活動している佐々木和之さんに人づてにアプローチ。「自然と無我夢中になれた」。1人で飛行機のチケットを取り、疑問に向き合うため、ルワンダに向かいました。

 現地での19日間。マーケットに行ったり、佐々木さんが教えている大学の授業を聴講したりしました。「当時のことに触れないことが当たり前という空気は感じた」。感じただけで、具体的な事例に触れることなく、消化不良はあるものの、「自分に何ができるか考えたい」と話します。

 帰国の1週間後、今度は、通っている大学のプログラムに参加し、インド南部のケララ州を訪れました。約1カ月間、現地の小中学校や高校へ行き、折り紙や日本の歌を紹介したり、広島・長崎に落とされた原爆について説明したりしました。

 驚いたのは子どもたちの原爆への関心の高さ。「教育水準が高いのに加え、世界で起きた負の記憶を、教訓として浸透させようという心意気があるのではないか」と考えます。

 「人生を通して何をしたいか」。将来の道を模索する中、さらに多くの国へ行ってみたい、という欲求が高まっています。「自分にしか感じられないこともあるはず。いろんな土地を訪れ、たくさんのもの・ことを見聞きしたい」

 まずは、ドイツに10カ月間留学する大学のプログラムに応募するつもりです。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)という加害について、どのように政治、文化が関わっているのか、戦時中の日本の加害とも比べながら学びたいと思っています。(二井理江)

ルワンダ大虐殺
 アフリカ赤道付近の内陸部にある小国ルワンダで、多数派フツ人が、長年対立していた少数派ツチ人を大量に殺害した。1994年4月6日、フツ人のハビャリマナ大統領たちが乗った航空機が首都キガリで撃墜されたのをきっかけに、フツ人主体の政府軍や民兵が同年7月までの約100日の間、ツチ人や、フツ人の穏健派たち80万~100万人を殺害したとされる。

(2016年9月26日朝刊掲載)

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