[ジュニアライターこの一作] 「戦火の馬」(マイケル・モーパーゴ著)
16年5月10日
重労働や銃殺 動物も
人間ではなく、馬の目線から戦争の様子が描(えが)かれています。この本を読んで、戦争は人間だけではなく、動物にまでも影響(えいきょう)を与えることが分かりました。
時は、第1次世界大戦。英国の農場で少年が大切に育てていたジョーイは、軍馬として戦地に送られてしまいます。
戦争に使われた馬は、戦闘(せんとう)に倒(たお)れたり、食料が不足する中で過重な労働を強いられ、体調を崩(くず)して銃殺(じゅうさつ)されたりします。戦争が終わっても、母国に輸送する価値がないと判断されれば、肉屋さんに売られてしまうのです。
何の罪もない馬が、人間の身勝手な争いによって、命を落としていく姿はあまりにも残酷(ざんこく)で、心が痛みました。作者のマイケル・モーパーゴは、戦争によって死んでいった人や馬が人々の記憶(きおく)から忘れ去られることがないよう、この物語を執筆(しっぴつ)しました。
私も被爆地広島で生きる者として、原爆の惨劇(さんげき)が忘れ去られることのないよう、ジュニアライターの活動を通して戦争の恐(おそ)ろしさを伝えていかなければいけないと感じました。(高2山田千秋)
(2016年5月9日朝刊掲載)