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ジュニアライター発信

考えてみて ヒロシマ フラワーフェスティバル ジュニアライターが企画 クイズや写真で学び直し

 平和の大切さを多くの人に向けて発信し、共有したい―。広島市中区の平和大通り一帯であった第40回ひろしまフラワーフェスティバル(FF)のステージに、中国新聞ジュニアライターが出演した。原爆や戦争について問うクロスワードと、被爆樹木や被爆建物、平和モニュメントの紹介を通して、来場者と一緒に10代の視線からヒロシマを学び直した。(山本祐司)

 小町の「ゴールデンシャワーステージ」に、中学1年から高校3年までの29人が登場し、2部構成で30分間発表。中国新聞のマスコットキャラクター「ちゅーピー」も参加した。

 前半のクロスワードは、縦1・1メートル、横1・6メートルの手作りパネルを使って11問を出題。元気よく手を挙げて答えてくれた子どもたちには、原爆ドームや、広島市の花であるキョウチクトウのイラストをあしらったオリジナルのピースうちわをプレゼントした。

 後半は、会場周辺にある被爆建物など「被爆の足跡」を説明した。写真を使って旧日本銀行広島支店や、現在は平和記念公園の一部となった旧材木町(現中区)石碑などの歴史を、地図で位置を示しながら解説。「自分で足を運び、ヒロシマを考えてみて」と呼び掛けて締めくくった。

 企画から約1カ月かけて準備した。訪れて発表を見ていた広島女学院高1年野坂真由さん(15)は「今まで平和にあまり興味はなかったけれど、被爆について見つめ直すよいきっかけになった」と話していた。

総合リーダー 高2 風呂橋公平さん(16)

協議過程に平和重ねる

 自分が総合リーダーをすることが決まってから、ずっと不安を感じていました。これまで責任のある役割をしたことがあまりなかったので、自分に務まるか自信がなかったからです。

 全ての世代が平和について自分たちの問題として捉え学ぶことは大切です。しかし難しいことでもあります。どうすれば目的を達成できるか、会議を開いて意見を交わしました。悩むこともありましたが、先輩たちに支えられ、本番までやり抜くことができました。

 他のジュニアライターと協力したり大勢の前で発表したりしたことで、とても度胸がつきました。人と人が理解し合って欠点を補い合い、一つのものを完成させる。こうした過程が、平和な世界の実現につながるのだと実感しました。

クロスワードチームリーダー 高1 岡田実優さん(15)

興味引く伝え方を工夫

 参加者が平和について学べるピースクロスワードを作りました。子どもから大人まで多くの人に、原爆や世界で起きた戦争について伝えるため、クイズという形で関心を持ってもらえるよう工夫しました。

 「原爆の子の像のモデルになった少女の名前は」「アンネ・フランクをイメージした花の種類は」―。問題は全てジュニアライターが考えました。日頃の取材を通じて知ったことも加えました。花の祭典らしく、パネルには折り紙で作った花を配置しました。

 最初はグループをまとめることに不安がありましたが、先輩たちが支えてくれました。多くの人が足を止めて見てくれたことに感謝し、今後も平和の大切さを発信していきたいです。

被爆の足跡チームリーダー 高2 正出七瀬さん(16)

声なき声に耳を傾けて

 緑豊かで多くの人が行き交う戦後71年の広島にも、「被爆の足跡」は残っています。声なき声に耳を傾けてほしい―。そんな思いで「歩いて考える被爆とヒロシマ」をテーマに、写真を使って発表しました。

 被爆樹木や被爆建物、平和モニュメントは、ひっそりと「あの日」の惨状や平和への願いを伝えています。焼け跡に芽生えた緑は市民に希望を与え、被爆後、倒壊を免れた建物は救護所として人々の命を守りました。モニュメントには戦争のない世界を望む人々の思いが詰まっています。

 準備や発表をする中で、私はそのような光景を想像しました。街を歩いている時に、これらの「証人」に出合ったら、少し足を止めてみてください。また違った広島が見えてきます。

(2016年5月9日朝刊掲載)

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