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ジュニアライター発信

『あすへのバトン』 10年目のジュニアライター卒業生の今 大学生 坂田弥優さん

国連環境会議でパリへ

大学生 坂田弥優(みゆ)さん(20)=東京都

 平和をテーマに取材・活動する中国新聞ジュニアライターが2007年に発足し、1月で10年目に入りました。これまでのメンバーは現役を含め120人。うち約60人が、大学生や社会人になっています。ジュニアライター「卒業生」の今と、平和への思いを追います。

 「1日延長して会議を続ける。そこでさらに協定書へのサインを拒否する国があると、書き換えられていく。いつ決定するか分からない。興味深かった」

 昨年11月末から12月中旬まで、パリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に参加。国際政治が動く現場を目の当たりにしました。

 小学校低学年から高校を卒業するまで続けた「こどもエコクラブ」(日本環境協会主催)。大学生になり、OB・OGらでつくる「オールジャパン ユースエコクラブ」に加盟し、子どもたちを対象にした環境活動を続けています。そのうち、知り合いに声を掛けられ、パリ行きが決まりました。

 現地で注目したのは2点。日本と途上国の関係、そして若者の取り組みです。

 途上国に関心を持ったのは、ジュニアライターとしての活動が主なきっかけでした。アジア太平洋経済協力会議(APEC)高級事務レベル会合の広島開催に合わせて、子ども会議の開催を当時の衆院議長に提案。実際に開かれた「APECジュニア会議in広島2010」(中国新聞社などの実行委員会主催)の開会式で、あいさつもしました。「ヒロシマのことだけじゃない、世界に目を向けたい」と考えるようになりました。

 COP21での日本について「目立った発言が少ない。もっとリーダーシップを示してほしかった」と残念がります。一方、環境省が途上国と進める「2国間クレジット制度(JCM)」などについて、会場内の日本パビリオンで知りました。「途上国の人が『助かっている』と言うのを聞いて、日本もすごいことやっているんだ、と思った」

 若者の視点にも刺激を受けました。米国や韓国の若者と話したり、ユースの活動発信の会場に行ったり。「二酸化炭素の排出について、地球レベルで考えていた。見習いたい」と話します。

 COP21に合わせて開かれた子ども会議について、国連の潘基文(バンキムン)事務総長が「この子たちの未来のために、子どもの意見を取り入れないといけない」と発言したのを聞きました。「子どもにも向き合っている。素晴らしかった」

 COP21での経験は、3月に東京で開かれる「こどもエコクラブ」の全国フェスティバルで発表する予定です。将来は建築士になって日本で、そして途上国で、環境に優しい建築物を建てるのが夢です。(二井理江)

随時掲載します

(2016年1月25日朝刊掲載)

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