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ジュニアライターがゆく

[ジュニアライターこの一作] 「日本のいちばん長い日」(半藤一利著)

戦争の苦しみ実感

 日本の無条件降伏(こうふく)を求める「ポツダム宣言」に反対し、戦争を続けることを主張した陸軍青年将校たちのクーデター計画に焦点(しょうてん)を当てたノンフィクションです。1945年8月14日から15日正午の「玉音放送」までの24時間を振り返っています。

 終戦前の日本は、相次ぐ空襲(くうしゅう)のほか、広島と長崎に原爆が投下され、焼け野原になり、多くの命が奪われました。「これ以上、国民を苦しめるわけにはいかない」という昭和天皇の「聖断」により、8月14日の御前(ごぜん)会議で降伏が決定します。しかし「国体を守るため」一部の若い軍人が徹底抗戦(てっていこうせん)を主張したのです。

 僕は本を読むまで、クーデター計画を詳しく知りませんでした。将校たちが、上官の命令書を偽造し、行動に移したことに驚(おどろ)きました。

 軍国主義の教育と世論を背景に、「敵を殺せ」「最後まで戦え」とたたき込まれた末に突然「戦争は終わり」と言われても、全ての軍人が一瞬で考えを変えることができたわけではなかったでしょう。混乱の中で一部の陸軍幹部が殺され、自決者も出ました。軍人も悩(なや)み、苦しむのが戦争です。

 クーデターは未遂(みすい)に終わりましたが、もし成功していたら…。戦争はなおも続き、日本の本土も沖縄戦のようになってさらに多くの人が死んでいたかもしれないと考えました。(中3伊藤淳仁)

(2018年3月19日朝刊掲載)

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