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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「チンチン電車と女学生」(堀川恵子、小笠原信之著)

たくましい献身 驚き

 戦時中の1943年4月から45年9月まで広島に存在した「広島電鉄家政女学校」をたどっています。戦争で電車やバスを運行する男性がいなくなる中、授業を受けながら、車掌(しゃしょう)や運転士をして給料をもらう学校でした。

 戦況(せんきょう)が悪化していく中、「学校」であるにもかかわらず、勉強どころではなくなって、働く時間の方が長くなっていったことに驚(おどろ)きました。しかし、空腹のままでも朝早くから夜遅(おそ)くまで友達と支え合いながら、市民や軍人の足として頑張(がんば)って働いていた女学生の強い意志をかっこいいとも思いました。

 戦後、この女学校と300人余りの女学生の存在は、人々の間で「幻(まぼろし)」になっていきました。電車の運転に誇(ほこ)りを持っている人、原爆で傷ついた友達を助けられず今も悔(く)やんでいる人。戦争に翻弄(ほんろう)されながら、たくましく生きてきた彼女たちの存在を忘れてはいけません。(中1岩田諒馬)

(2017年2月20日朝刊掲載)

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