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ジュニアライターがゆく

『ジュニアライター発』 サーローさんに聞く 核兵器廃絶へ 若い人に期待

世界へ発信 広島の責任。子や孫に安全な地球 渡したいから

しっかり学んで。同じ思いを持つ人増やして

 中国新聞ジュニアライターは、昨年のノーベル平和賞授賞式で演説し、古里の広島にカナダから戻(もど)った被爆者のサーロー節子さん(86)に9人でインタビューしました。事前に講演を聞いて質問したいことをみんなで考え、核兵器廃絶に懸(か)ける思いと、若者への期待などについて尋(たず)ねました。

Q サーローさんが考える平和な世界とは何ですか

 原爆で私が生き残り、友だちが焼け死んだ意味が何なのか考えた高校生の頃、「平和とは、すべての人に社会正義をもたらそうとする努力のプロセスである」という言葉に出会いました。世界教会協議会のリポートを読んだ時でした。

 弱い、強いに関係なく、命を与(あた)えられた一人一人を考えたメッセージに感動しました。みんな空腹だった当時、「社会正義」は何か考えると、すべての人に食べ物、夜休む所、教育、医療が備わった状態だと。ただ戦争がないだけでなく、尊敬し合い、人の尊厳を保ちながら生活することが大切です。

 原爆で私は4歳のおいを目の前で荼毘(だび)に付しました。あの大量破壊(はかい)兵器は街を一瞬(いっしゅん)にして灰にし、子どももお年寄りも無差別に殺しました。一つずつの命がどれだけ貴重か。生きる権利を尊重することが、私の基本的な平和の定義になっています。

Q ヒロシマの役割を教えてください

 日本政府が核兵器禁止条約を批准(ひじゅん)していないのは、非常に悲しい。核兵器がどんなに恐(おそ)ろしいか、世界の人に警告として発信することが、生き残った人と広島に住む人の道徳的責任だと思います。私が話すのは、自分が命を全うしたいだけでなく子どもや、孫に安全な地球を渡(わた)したいから。若い人の役割にも期待します。

Q 私たち若い世代が起こすべき行動ややるべきことは何でしょう

 今の若者は学校やさまざまなグループに所属し恵(めぐ)まれています。その環境(かんきょう)を生かして十分に行動してほしいですが、情報をうのみにするのではなく、自分で批判的に考える習慣を付けてほしい。知識は最低限必要な道具。しっかり学んで。同じ考えの人と携(たずさ)わり、責任ある政治家に手紙を書くなどして伝え、同じ思いを持つ人を増やしてほしい。それが民主主義につながります。

学んだこと

努力のプロセス大切

 私は、平和とはただ「戦争がない」状態のことだと思っていました。サーローさんの「全ての人に社会正義をもたらそうとする努力のプロセスだ」という言葉に驚(おどろ)きました。誰(だれ)も貧困や戦争の被害(ひがい)に苦しまない世界を目指す過程が大切なのです。「世の中に訴(うった)えるには知識が道具となる。たくさん学んで」とも言われました。もっと平和や核兵器の問題について知りたいです。(中2林田愛由)

行動する勇気を得た

 サーローさんは自身の被爆体験に基づき、一人一人の命ほど尊いものはないという信念を持って日々活動しているそうです。人間の尊厳の対極に位置するのが「核兵器という大量殺人兵器」だと言います。優しく語りかける中に、若い人たちと一緒(いっしょ)に核兵器の非人道性や平和の尊さを訴(うった)えたいという強い思いを感じて、ジュニアライターとして行動していく勇気を得ました。(高1目黒美貴)

(2018年12月3日朝刊掲載)

 サーローさんに唯一の被爆国である日本について意見を聞いたとき、「怒り」とおっしゃったのが印象に残っています。その怒りを力に変え、建設的なプロセスを通して核兵器廃絶活動に突き進むサーローさんの姿に感銘を受けました。私は来春、他県の大学に進学します。海を越えた土地で核兵器のない世界を訴え続けるサーローさんと出会えた経験を大切にし、広島で生まれ育った者として多くの人々に平和を発信したいと思います。(高3松崎成穂)

 「怒りが生まれたらそれを前向きに捉え、考えることが出来たらいい」「喜び、悲しみ、怒ることを恥じなくていい」と、サーローさんは言われました。怒るだけで終わってしまう私のいつもの行動とは真反対の事を言われ、とても驚きました。怒りや悲しみでさえも前向きに捉えることで、新たな事に目を向けることが出来るのだと思います。これからは感情を表に出すだけでなく、そこから多くの事を前向きに学んでいきたいです。(中2桂一葉)

 サーローさんは被爆後、平和や戦争、そして死とは何かについて考え続けてきました。今回のインタビューでサーローさんは、「衣食住や学びの場が安定している生活の中、その環境を活かし、知識をもっと豊かにしてほしい」と私たちに訴えました。戦争を知らない私たち若い世代に「しっかり考え、意見を発信する責任があるはず」という思いを抱かせるサーローさんの強い意志を感じました。(高1斉藤幸歩)

 戦争をなくしたいと考えるだけではなく、行動に移すことが大切だと思いました。サーローさんは、日本政府は、核兵器廃絶を訴えなければいけないのに米国の核の傘の下にいたり、核兵器禁止条約に署名をしていなかったり、核兵器廃絶のために動いていないとおっしゃっていました。私は、まずは選挙権を持っている大人に核兵器の恐ろしさを伝えていきたいと思います。(中1中島優野)

 「核兵器は大量の殺人兵器だ」という言葉が心に残りました。被爆者が70年以上原爆のことを必死で伝えてきたのに、わが国は核兵器禁止条約に反対しています。被爆者の努力が無駄になっており、許せないことだと思います。私たち広島人がリーダーとなり、市や県、政府に訴えなければならないとサーローさんはおっしゃっていました。子どもからお年寄りまで、みんなが核兵器の恐ろしさを理解し、世界へ発信すべきだと強く感じました。(中2岡島由奈)

 一番印象に残ったサーローさんの言葉は、「Critical Thinking(批判的思考)」です。情報を全て鵜呑みにするのではなく、本当に正しいのか自分で判断する力が必要だとサーローさんはおっしゃっていました。私は、学校での学びを通じてこのCritical Thinkingを身に付けていきたいと思います。サーローさんは私の高校の先輩でもあります。核兵器廃絶を世界に訴え続けているサーローさんを改めて誇りに思いました。(高3池田穂乃花)

 講演会とインタビューでサーローさんのお話を2度聞く機会がありました。講演会で行動することの大切さを何度も訴えられていたので、翌日のインタビューでは、ジュニアライターが核兵器禁止条約の街頭インタビューをしたことを紹介しました。「諦めず、光に向かって、はって行け」。サーローさんから頂いたメッセージを忘れず、これからも活動を頑張ろうと思います。(高1伊藤淳仁)

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