×

ジュニアライター発信

『ジュニアライター発』 灯籠預かるボランティア 高齢被爆者の思い 胸に

 「原爆の日」の6日、原爆ドーム(広島市中区)前を流れる元安川で、犠牲者(ぎせいしゃ)を追悼(ついとう)する「とうろう流し」があります。私は、参加が難しい高齢(こうれい)の被爆者のため、事前に灯籠(とうろう)を預かるボランティア活動に参加しました。県内外から集まった中高生たち17人と、原爆養護ホーム「舟入むつみ園」(同)を訪れました。

 入園者の高見藤枝さん(91)はピンクの紙に「真実の心」と書いていました。17歳の時、広島駅(現南区)で被爆し、左目と左脚(ひだりあし)に大けがを負ったそうです。「私は命がけで原爆のことを話さんといけん」と言い、思い出したくないはずの体験を語ってくれました。

 ほかの入園者たち14人も色紙に「原爆は許さない!」「平和」などとメッセージを書きました。それぞれが被爆体験を話し始めると、ボランティアは静かに耳を傾(かたむ)けていました。

 この活動は、広島市の市民団体「ピース・ポーター・プロジェクト」が企画しました。私は昨年初めて参加した時、高見さんと会いました。残酷(ざんこく)な体験を聞いて胸(むね)を打たれ、平和のために何か行動しようと中国新聞ジュニアライターになりました。高見さんと文通も続けています。6日は、心を込めて、被爆者たちの思いが託された灯籠を川に流したいと思います。(中3岡島由奈)

(2019年8月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ