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ジュニアライター発信

[ジュニアライターこの一作] 「ピカッ、ドーン!!(原爆) 九死に一生を得た一銀行員の記録」(熊巳武彦著)

核の脅威 広く知って

 三菱銀行広島支店に勤務していた熊巳(くまみ)武彦さんが、核兵器の脅威(きょうい)を訴(うった)え、二度と戦争が起こらないよう願って執筆しました。

 熊巳さんは河原町(現広島市中区)の自宅で被爆して、ひどいけがをしました。傷が全て癒(い)えないうちに「銀行業務の再開に尽力したい」と行動します。

 川に向かって折り重なる負傷者や、子どもを捜(さが)すために死体を一つ一つのぞき込んでいる父親らしき人…。熊巳さんが目撃(もくげき)した被爆後の惨状(さんじょう)が詳細(しょうさい)に書かれています。

 印象に残っているのは、「世界中の人々、特に核兵器を保有する先進国の人々の世論が核兵器の廃絶(はいぜつ)のために結集されることが最も肝要(かんよう)」という一文です。この言葉は、私たちに課された宿題だと考えます。

 広島への原爆投下による被害など、核の脅威を広く知ってもらいたいと思います。もし世界の人が核兵器について関心を持ち、核と人類の共存は極めて危険であると気づくことができたら、核兵器廃絶を求める声は今よりもっと大きくなり、署名活動なども盛んになるはずです。個人レベルでの力がやがて大きな力になると思います。

 熊巳さんをはじめ被爆者の「核兵器をなくしてほしい」という思いを受け継いでいかなければならない。あらためて、そう感じました。(高2芳本菜子)

(2016年6月27日朝刊掲載)

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