×

核なき世界への鍵

[核なき世界への鍵] 禁止条約 成案を公表 7日採択へ 最終案ほぼ維持

 米ニューヨークの国連本部で開かれている「核兵器禁止条約」の制定交渉会議で、ホワイト議長(コスタリカ)は6日、条約の成案を公表した。核兵器の使用をちらつかせる「威嚇」を禁止事項に加えるなどした3日の最終案をほぼ維持。交渉参加国の大半は最終案の内容に大筋同意しており、会期末の7日に成案が採択される見通しだ。(ニューヨーク発 水川恭輔)

 成案は全20条。前文で、広島、長崎の被爆者の苦しみと核兵器廃絶への努力に触れ、第1条で使用や保有、開発、実験など核兵器に関わる活動を全面的に禁じる。

 核兵器保有国が、核兵器をなくす前に条約を締約する道筋も規定。廃棄の期限を定めた上で、国際機関の検証を受けながら、後戻りせず廃棄していくよう義務付ける。ほかに、核被害者への医療や環境回復などの援助を盛り込んでいる。これに関し、米国による核実験が繰り返されたマーシャル諸島などが求めていた、使用・実験をした国の責任を加えた。各国の署名開始は9月20日とした。

 交渉会議では成案公表に先立つ5日、各国が最終案を議論。ホワイト議長が1条ずつ大筋の同意を確認しながら進めた。脱退規定などについて意見が割れたが、ホワイト議長は最終案を「最良の妥協案だ」とし、議論の蓄積や時間的制約から原則最終案を尊重する方針に理解を求めた。

 一方、北大西洋条約機構(NATO)加盟国で唯一、交渉に参加しているオランダは「意見が反映されていない」などと多くの条項に賛同できない考えを示した。議長は全会一致での採択を目指しているが、最終的に投票になる可能性がある。交渉には121カ国・地域が参加している。

(2017年7月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ