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核なき世界への鍵

[核なき世界への鍵] 被爆者 非人道性を訴え 条約交渉会議 開幕

 核兵器を禁止し、全廃するための初の条約交渉会議が27日、米ニューヨークの国連本部で開幕した。今回の会期は31日までの5日間で、広島・長崎の原爆被害を踏まえた核兵器の非人道性への共通認識を土台に、参加各国の政府代表が、禁止事項などを議論する。「核兵器なき世界」に向け、核保有国をはじめ交渉に反発する国々を巻き込む道筋も焦点になる。 (ニューヨーク発 水川恭輔)

 コスタリカのホワイト駐ジュネーブ国際機関代表部大使が議長を務め、初日は広島で被爆した藤森俊希・日本被団協事務局次長(72)=長野県茅野市=が核使用の非人道性や条約締結の必要性をスピーチ。「法的拘束力のある条約を成立させ発効させるために力を尽くしましょう」と呼び掛けた。各国政府高官たちが順次演説。実質交渉に入り、31日までに条約の前文・目的、禁止事項、関連制度を順に取り上げる予定だ。

 各国の非政府組織(NGO)代表者たちの発言枠があり、被爆地広島からは平和首長会議(会長・松井一実広島市長)の小溝泰義事務総長が出席。核保有国を含む全ての国が法的禁止に加わるよう会期中に働き掛ける。今回の議論を基に、オーストリアなどの条約推進国は6~7月の次回までに条約の草案を作りたい考えだ。

 禁止条約の交渉開始を定めた決議案には昨年10月の国連総会第1委員会(軍縮)で123カ国が賛成し、12月の総会で採択された。米ロなど核保有国の多くは反対。米国の「核の傘」に安全保障を頼る被爆国の日本も反対し、現時点での条約制定に消極的な姿勢を取り続けてきている。

(2017年3月28日朝刊掲載)

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