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社説・コラム

『この人』 陸上自衛隊第13旅団長に就任した 児玉恭幸(こだま・やすゆき)さん

 「全ては任務が基準」の統率方針を掲げ、陸上自衛隊第13旅団(広島県海田町)に8月25日、着任した。防衛・警備や災害派遣、国際活動など自衛隊の任務は多い。「完遂してやっと評価される組織。任務達成にプラスかどうかで、私は決断を下すぞということを隊員にまず伝えた」

 中国地方5県を管轄し、約3500人の隊員がいる同旅団は、2018年の西日本豪雨で救助活動や行方不明者の捜索に尽力した。今後の災害に備えて部隊の能力を高める考えを示した上で、「大事なのは、日頃から自治体や警察、消防など地域との連携を緊密にしておくことだ」と力を込める。

 災害対応で印象深いのは、11年の東日本大震災。発災時は東京の陸上幕僚監部(陸幕)で各部隊の統制や調整を担った。同年8月には、福島県郡山市に第6特科連隊長として赴任し、福島第1原発事故の除染活動で指揮を執った。家族との関係がぎくしゃくした隊員もいて、「任務の遂行には、普段の家族との絆が大切になる」と痛感した。

 宮崎県延岡市出身。ラグビーに打ち込んでいた高3の秋、監督に言われるまま防衛大学校を受けたのが、自衛官になるきっかけ。その後、自衛隊について学び、経験するうちに「一生を懸けられる仕事だ」と思えるようになったという。卒業後は第1空挺(くうてい)団を振り出しに、同団長や陸幕監察官、教育訓練研究本部副本部長を歴任した。中国地方に住むのは初めて。

 「子どもと遊ぶのが趣味」と語り、娘のバスケットボールの練習試合で審判を務めることも。長女は結婚して独立し、千葉県八千代市の自宅に妻と3人の娘を残し、広島市安芸区の官舎に単身赴任する。(石井雄一)

(2020年9月2日朝刊掲載)

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