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大和の記憶語り継ぐ 元乗組員 呉の広さん死去

 戦艦大和の元乗組員で、戦友の慰霊や記憶の伝承に尽くした戦艦大和会会長の広一志さん=呉市伏原=が18日に96歳で亡くなり、23日、訃報が伝えられた。地元の呉市などで悼む声が広がった。

 「高齢になっても会合に出席し続けていた。戦争の悲惨さ、平和の大切さを訴える強い意志を感じた」と、同会の花戸忠明副会長(80)は振り返る。温厚な人柄で、会ではまとめ役に徹していたという。

 元乗組員や遺族たちでつくる同会は1953年発足で、広さんも設立に関わった。2014年、4代目会長に就任。大和が沈没した4月7日に合わせ、市内の長迫公園(旧呉海軍墓地)の「戦艦大和戦死者之碑」前で開く追悼式の世話にはとりわけ心を砕いた。

 今年9月22日に同公園であった合同追悼式にも参列。「多くの犠牲があり、今の平和がある。絶対に忘れてはならない」と、感慨を中国新聞の読者投稿欄に寄せていた。

 長女の根石圭子さん(68)は「父は戦争で若い時に勉強できなかったのを悔しがっていた。勉強ができる平和な世を常に願っていた」と話す。

 戦艦大和会顧問の相原謙次さん(65)は「大和ミュージアムで再び大和が脚光を浴びた時期に、貴重な役割を担われた。志を受け継がねばいけない」と語った。(東谷和平)

(2020年10月24日朝刊掲載)

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