×

ニュース

資料 世界に発信を/史実 次代へ 大和ミュージアム記念シンポで討論

 24日に呉市であった大和ミュージアム開館15周年記念シンポジウム(同実行委員会など主催)は、エッセイストの阿川佐和子さんによる講演とトークショーの後にパネルディスカッションがあり、ミュージアムが今後果たすべき責務などを語り合った。

 登壇者の一人、東京大名誉教授の大和裕幸さんは、大和ミュージアムと東京大柏図書館が連携して整理した「平賀譲デジタルアーカイブ」について紹介。海軍造船中将で東京帝国大総長も務めた平賀の残した資料をデジタル化してネット上に公開した経過を振り返り、地域に密着しつつ世界に発信する博物館への期待を語った。

 原爆資料館(広島市中区)館長の滝川卓男さんも登壇し、日清戦争を契機として都市化が進んだ広島市と、軍港都市として栄えた呉市の共通点に言及。史実を次世代に継承していく博物館の使命を強調した。

 司会も担った大和ミュージアムの戸高一成館長は、戦後75年の節目に触れて「戦争を知らない世代が、さらに知らない世代に伝えていく時代になった」と表現。来館者が自らも調べてみたいと思うような、知的欲求をかき立てる博物館が求められていると述べた。(道面雅量)

(2020年10月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ