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近く検討会発足 「黒い雨」被害 厚労省が方針

 米国による広島市への原爆投下後に降った「黒い雨」の被害を巡り、山本博司厚生労働副大臣は5日、援護対象区域を再検証し、拡大を念頭に議論する検討会を近く発足させる方針を示した。厚労省で会談した広島県の湯崎英彦知事が明らかにした。

 湯崎知事は「黒い雨の体験者の高齢化が進んでいる」として、スピード感を持った区域の再検討を求める提案書を手渡した。その後の非公開の会談で、山本副大臣は「検討会を近いうちに立ち上げる」と述べたという。

 検討会には県と広島市の関係者をメンバーに加える見通しだ。湯崎知事は会談後、「どういうメンバーにするかは県と市で役割分担をしなければならない」と話した。

 「黒い雨」訴訟で原告84人全員を被爆者と認めた7月の広島地裁判決を受け、国が援護対象区域について「拡大も視野に入れた再検討をする」と表明。厚労省は2021年度、スーパーコンピューターなどを活用して作業を本格化させる方針でいる。厚労省への訪問に先立ち、湯崎知事は県選出の国会議員にも同様の要望をした。(河野揚)

(2020年11月6日朝刊掲載)

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