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本紙連載に協会賞授与 「ヒロシマの空白」 神戸で新聞大会

 第73回新聞大会(日本新聞協会主催)が26日、神戸市中央区で開かれた。本年度の新聞協会賞の授賞式もあり、中国新聞社の連載「ヒロシマの空白 被爆75年」「ヒロシマの空白 被爆75年 街並み再現」など計6件が表彰された。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、より信頼性の高い情報が求められていることに言及し「正確で公正な報道を通じて国民の安心・安全な生活に寄与する」とした決議も採択した。

 協会加盟の新聞、通信、放送各社の代表たち約300人が出席。日本新聞協会の山口寿一会長(読売新聞グループ本社社長)はあいさつで、今年から新聞協会賞を編集部門に絞ったことに触れ「正確で質の高い情報の価値、新聞の公共的な役割を多くの方々に再認識してほしい」と述べた。

 新聞協会賞の授賞式で、「ヒロシマの空白」は「公的記録に残っていない犠牲者の名前や、詳細が不明だった遺骨の身元を突き止め、75年を経ても歴史の空白を埋められることを実証した。記憶を風化させないジャーナリズムの力を示す優れた調査報道」と評価された。

 代表で表彰状を受け取った編集局ヒロシマ平和メディアセンターの金崎由美センター長(50)は、1945年末までの広島の原爆犠牲者数として知られている「14万人±1万人」は推計値だとし「存在が『空白』となっている死者が多くいることは間違いない。一人一人の生きた証しを記録に刻むことが、被爆地に根ざす原爆平和報道の原点だ」と述べた。

 米大リーグで活躍したイチローさんの記念講演と、「コロナ禍と新聞編集、新聞経営上の課題」をテーマにした研究座談会もあった。(水川恭輔)

 中国新聞社以外の協会賞と新聞経営賞は次の通り。

 【新聞協会賞】日本放送協会 「戦没者遺骨の取り違え公表せず」の一連のスクープ▽神戸新聞社 教員間暴力のスクープと神戸の教育を巡る一連の報道▽フジテレビジョン コロナ重症病棟 医師たちの闘い▽沖縄タイムス社 焼け落ちた沖縄の象徴▽毎日新聞東京本社 「にほんでいきる」 外国籍の子どもたちの学ぶ権利を問うキャンペーン報道

 【新聞経営賞】熊本日日新聞社 小中学生新聞「くまTOMO」の登録会員とICTを活用した取り組み

(2020年11月27日朝刊掲載)

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