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四国五郎さん 描いた豊浜 合併前の広報誌携わる 水彩画 暮らし生き生き

 峠三吉「原爆詩集」の表紙絵などで知られる画家、四国五郎さん(1924~2014年)による呉市豊浜町の風景などを描いた作品展が、同町の豊浜市民センターで開かれている。同町まちづくり協議会の主催。展示からは、合併前の旧豊浜町と四国さんの縁も浮かび上がる。(仁科裕成)

 展示する作品は、1987~92年ごろ、旧豊浜町の広報誌などのために制作したとみられる水彩画37点。同町が寄贈を受け、2005年の呉市との合併後は同センターで保管していた。

 作品を入れ替えながら12月28日まで展示する予定で、現在は14点が並ぶ。マラソン大会で島内一周に挑む豊浜中の生徒や、瓦のひしめく町並みと海を高台から望んだ風景などが描かれている。絵と比較できるよう、モチーフと思われる場所の写真も添えた。

 広島市を拠点に創作し、平和への願いを作品に込めた四国さんは、地域に暮らす人々の日常も好んで描き続けた。旧豊浜町とは、写生大会の審査員や、町の基本構想のアドバイザーを務めるなどで縁を深め、町内の各所を巡ってはスケッチを重ねたという。

 同センターで展示を担当した大下一弘さん(65)は「どの絵も人が描かれ、当時の暮らしがよく分かる。島の歩みに思いをはせてほしい」と話す。センターは平日に開館している。

(2020年11月30日朝刊掲載)

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