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[ヒロシマの空白 被爆75年] 戦前 踊る少女たち 羽田別荘 歌劇団の写真200枚

 今年で創業120年を迎えた広島市中区舟入町の料亭「羽田別荘」が、戦前に運営していた「羽田別荘少女歌劇団」の写真約200枚を保管していることが6日、分かった。原爆で壊滅する前の広島の芸能や風俗を伝える貴重な史料で、多くが未公開とみられる。

 1930年代に入団し、3年前に亡くなった松永(旧姓香川)勝子さんから2015年に寄贈を受けた。きらびやかな衣装の女性が踊る舞台や団員のくつろいだ姿、36年の日独防共協定締結を記念した公演の一枚もある。

 羽田別荘の創業者、故羽田謙次郎氏(1876~1945年)が宝塚少女歌劇などに倣い18年に始めた「羽田歌劇(ハダカゲキ)」は、日米開戦直前の41年に解散するまで東京や関西、旧満州(中国東北部)や台湾へも巡業していた。

 羽田別荘は米軍による原爆投下で全焼したが、戦後に再建し、今に続く。

 広島市郷土資料館(南区)の前野やよい主任学芸員は「ハダカゲキの関連資料は大半が焼失しており、これほどまとまった写真は初めて見た。当時の娯楽を知ることができ非常に貴重」と説明。来春の企画展で一部を公開する。(桑島美帆)

(2020年12月7日朝刊掲載)

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