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「すずさん家」 呉に新名所 「この世界の-」 舞台のモデル 住居跡に市整備

地面舗装 間取り色分け マップも作製

 アニメ映画「この世界の片隅に」の主人公すずが暮らす家のモデルとなった呉市畝原町の住居跡が、作中で描かれた家の間取りが分かる立ち寄りスポットになった。原作者こうの史代さんの祖父母宅があった土地で、寄付を受けた呉市が整備し「すずさん家(がた)」と名付けた。市は併せて、ここも含め原作漫画や映画ゆかりの地をたどるマップも作製した。(杉原和磨)

 住居跡は、灰ケ峰中腹の住宅地にある敷地約206平方メートル。物語ではすずの嫁ぎ先として登場する。家の形に地面をコンクリートで舗装し、間取りが分かるよう、部屋ごとに色分け。入り口そばには、登場人物の顔などが描かれた説明板も設けた。近くには、すずが呉湾を眺めながらスケッチをしていたシーンと重なる段々畑もある。

 映画は2016年に公開されて人気となり、舞台となった場所をファンが訪れるようになった。19年には新たなエピソードを加えた長尺版も公開された。こうのさんは「受け入れ態勢を整えてほしい」と17年に市へ土地を寄付。市は18年から整備を始めたが、同年7月の西日本豪雨の影響などで完成が遅れていた。

 市作製のマップは、A4判カラーで2万部印刷。すずさん家のほか、作中に登場する旧澤原家住宅の三ツ蔵(長ノ木町)や辰川バス停(西辰川)などを巡る3コースを紹介している。すずさん家に立ち寄る際の注意点として、駐車場や駐輪場なし▽トイレなし▽近隣の私有地や段々畑に入らない▽住宅地のため静かに―なども書き添えた。

 市観光振興課は「新型コロナウイルス禍でもあり、節度とマナーを守って訪れてほしい」と呼び掛ける。呉観光ボランティアの会(呉市)は、すずさん家などを歩いて回るツアーを計画中。守岡秀雄事務局長は「映画の世界を感じてもらえるような案内を考えたい」と話している。

(2020年12月29日朝刊掲載)

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