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被爆ピアノと平和願う 31日と元日 原爆慰霊碑前で音楽会

年またぐ日程 語り継ぐ大切さ発信

 広島で被爆したピアノを演奏し、平和への願いを発信する音楽会「これからも記憶を継ぐ」が31日と来月1日、広島市中区の原爆慰霊碑前である。被爆2世の調律師矢川光則さん(68)=安佐南区=や支援者たちでつくる「ひろしま被爆ピアノ友の会」(手島秀昭代表)が企画。原爆の惨禍を次代に伝えるため、被爆75年の節目の年と新たな年をまたぐ日程で催す。(木原由維)

 慰霊碑前に並べるのは、爆心地から1・8キロの中区千田町と、2・6キロの南区段原山崎町でそれぞれ被爆したピアノ2台。当時の持ち主の家族から託された矢川さんが修復後、自身の工房で保管している。持ち主の名前から、それぞれ「ミサコ」「カズコ」と名付けた。

 音楽会は両日とも午後1時開演で約2時間。県内外で活動するピアニストやシャンソン歌手たち6、7組が出演する。被爆ピアノを題材に制作された曲「平和のピアノ」や「原爆を許すまじ」を披露。被爆ピアノにちなんだ絵本「旅するピカドンピアノ」の朗読もある。

 矢川さんは2000年以降、原爆の爆風や熱線を受けたピアノ6台の修復を手掛けた。各地の平和イベントに貸し出し、自らも演奏会を企画している。「被爆者の高齢化が進み、今後どのように平和を伝えていくかが問われている。音色に耳を傾け、語り継ぐ大切さについて考えてほしい」と呼び掛ける。

 両日とも無料だが、新型コロナウイルス感染防止のため客席は設けない。雨天の場合、原爆資料館のピロティで開く。手島代表☎090(2296)5254。

(2020年12月30日朝刊掲載)

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