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核廃絶 4月に研究拠点 広島県方針 「30年合意」目標

 核兵器のない世界の実現へ、広島県が「ひろしま国際平和創造センター」(仮称)を4月1日に開設する方針を固めたことが8日、分かった。核兵器廃絶に向けた明確な国際的合意が2030年に国連で達成される、という目標を設定。核軍縮をはじめ関連分野の人材を集積し、研究する機能を備える組織として、核兵器廃絶の具体策を探る役割を担う。(樋口浩二)

 複数の関係者によると、センターは湯崎英彦知事を会長とする任意団体となる。県内の6大学や国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所(広島市中区)、経済団体など19団体でつくる既存の「ひろしま平和推進ネットワーク協議会」を組織改編する。事務局を県平和推進プロジェクト・チーム(PT)に置き、平和分野に精通した2人を外部登用する。

 センターでは、国内外から平和に関する人材を県内に集め、研究を推し進める仕組みを築くのを目指す。国内外の研究機関や各種団体が核兵器廃絶を旗印に連携する形を探るほか、活動に必要な資金集めにも本腰を入れる。21年度一般会計当初予算案に関連経費約1億円を盛り込む方向で調整を進めている。

 県はセンター開設前の2月ごろに、核兵器廃絶の決意を示す宣言「ひろしまイニシアチブ」(仮称)を打ち出す方針。この中で、30年には核兵器廃絶に向けて核保有国を含む明確な国際的合意が達成されるという目標を定める構えでいる。

 宣言では、今月22日に発効する核兵器禁止条約に署名、批准するよう全ての国に求めるほか、核兵器に頼らない安全保障政策や核軍縮の具体策の探求を掲げる見通し。県はセンターを、これらの推進組織と位置付けているという。

 湯崎知事は09年の知事初当選時、国際平和の実現のための「センター機能」をつくると掲げており、今回のセンターはそれを具体化した組織にもなる。県は11年に「国際平和拠点ひろしま構想」をまとめ、平和分野の人材育成や多国間の核軍縮交渉の後押しを進めている。

国際平和を実現するセンター機能の新設
 広島県の湯崎英彦知事は2009年11月の知事選で、マニフェスト(公約集)に「ひろしま国際平和センター機能の構築」を掲げた。湯崎知事はその後、11年10月に公約を具体化した「国際平和拠点ひろしま構想」を発表。平和に関する人材や構想、資金を世界中から集め、平和構築のための新たな活動を生み出す拠点づくりの必要性を打ち出している。

(2021年1月9日朝刊掲載)

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