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核なき世界へ四つの柱 広島県骨子案 30年国際合意訴える

 広島県は2日、核兵器のない世界の実現に向けた各国や市民への新提案「ひろしまイニシアチブ」の骨子案を公表した。核兵器廃絶へ、遅くとも2030年には核保有国を含む明確な国際合意を達成するよう国際社会で働き掛けを強めるなど、四つの柱からなる。4月1日に新設する任意団体「ひろしま国際平和創造センター」(仮称)を軸に取り組みを進める。

 骨子案では、柱の一つに「国連での核兵器廃絶目標の合意」を掲げる。45年の国連創設100年を目指した目標の中に、加盟国が一致して核兵器廃絶を位置付けるべきだと主張。そのため、30年までには核保有国を含めて廃絶への明確な合意ができるよう訴える。

 二つ目の「核兵器を拒否する世界的規範の強化」では、今年1月に発効した核兵器禁止条約を批准するよう、日本を含む全ての国に要求する。非人道性を伝える若者の育成にも力を入れて核兵器を非正当化し、拒否する規範を強めることで各国を動かせると説く。

 もう二つは「核軍縮の促進と核兵器に依存しない安全保障の探求」「協働のためのプラットフォームの構築」とした。骨子案を土台に議論を喚起し、21年度以降に成案を固めるという。

 湯崎英彦知事は2日の記者会見で、骨子案を説明した。被爆者が求める一日も早い核兵器廃絶を目指すとしつつ、核兵器に頼らない安全保障政策の検討などで「一定の時間は必要」と理解を求めた。

 30年時点の目標を廃絶への合意とした理由については「10年に満たない期間で廃絶へ進むのは難しい。合意できれば相当の進展だ」と述べた。合意は、各国が禁止条約に参加する前段階になるとの認識も示した。

 イニシアチブ推進を担う国際平和創造センターは既存の平和推進ネットワーク協議会を改組し、官民19団体で設ける。県平和推進プロジェクト・チーム(13人)が事務局を兼ね、関連の研究や交渉にたけた外部人材2人を迎える。湯崎知事は、資金面などのめどがつけば2、3年のうちに県の外部組織にしたい考えだ。(岡田浩平)

(2021年2月3日朝刊掲載)

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