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予算化 広島県見送り 被服支廠保存・サカスタ建設 21年度当初案

 広島県は10日発表した2021年度当初予算案に、広島市南区で所有する最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の保存や安全対策の費用を盛り込まなかった。市とともに24年の開業を目指している中区へのサッカースタジアム建設でも、予算計上を見送った。

 被服支廠の保存や安全対策とスタジアム建設はともに多額の支出を伴う可能性があり、県議会が動向を注視している。湯崎英彦知事は記者会見で、県議会での審議を踏まえてそれぞれ予算化を判断するという従来の姿勢を繰り返した。

 県は被服支廠では一時、安全対策費の計上を探ったが、県議会側にまずは利活用策を定めるよう求める声が強く、見送った。昨年12月に耐震性の再調査結果をまとめた際には、専門家から劣化した外壁の一部などで「早急な対応が必要」と指摘された。湯崎知事は、安全対策は「喫緊の課題」としつつ、予算化の時期は慎重に検討するとした。

 保存・解体を巡る判断は、21年度以降に下す見通しとなっている。湯崎知事は所有する3棟で19年12月に示した「2棟解体、1棟の外観保存」案をどうするかについて、「県議会と議論した上で最終的な方向性を決めたい」と述べた。

 スタジアムは、事業主体の広島市が21年度当初予算案に設計費など54億3千万円を計上し、県が半額を負担すると想定している。湯崎知事は、負担割合について「具体的な絵姿を決める中で検討する」とあらためて強調。県内全域への波及効果を見極めるという。(樋口浩二)

(2021年2月11日朝刊掲載)

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