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[#輪になれ広島] 被爆電車「体験」 ヒロシマ伝える

広電が動画 修学旅行中止受け

奈良の児童 臨場感に驚き

 広島電鉄(広島市中区)は16日、新型コロナウイルスの影響で広島市への修学旅行が中止になった奈良県の小学生に、オンラインで被爆電車の乗車を体験してもらった。市中心部を実際に走らせ、社員が車内から原爆ドームなどの風景を動画撮影して配信した。初の試みで、新たな平和学習の形として継続できないか検討する。(小川満久)

 広電西広島電停(西区)から千田車庫(中区)まで被爆電車651号を運行した。タブレット端末を持つ奈良県生駒市のあすか野小6年生157人に向け、社員が被爆3日後の運転再開を説明。「復興への希望の象徴として市民に喜ばれた」と話した。

 原爆ドームの前では、保存工事が進む現在の姿を伝えた。651号が被爆した市役所付近が近づくと、焼け焦げた車両の写真をカメラに示し「当時の台車を今も使っている」と紹介した。児童は路線図と照らし合わせて画面を見詰め「本当に乗っているみたい」「今でも走っていて驚いた」と感想を語った。

 同小の修学旅行は昨年秋の予定だった。8月に中止を決めた後、生駒市教委の職員が、広電が被爆電車の見学を受け入れていることを知り、協力を依頼した。

 奥田隆史教頭は「臨場感があり、児童は食い入るように画面を見ていた。本当に貴重な体験ができた」と感謝。広電の市川恭子広報担当係長は「コロナ禍の中、ネットを使った新たな平和学習の機会を提供できた」と語った。

(2021年2月17日朝刊掲載)

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