×

ニュース

61年ぶり入館30万人台 原爆資料館 コロナ影響 20年度見通し

 原爆資料館(広島市中区)の入館者数が、2020年度は30万人台にとどまる見通しとなった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動の自粛や臨時休館などが影響した。30万人台になれば開館5年目の1959年度以来61年ぶりで、過去最多だった19年度の175万8746人と比べると8割減となる。人数を制限して入館を受け入れているが、現在も感染拡大前の水準に戻っていない。(水川恭輔)

 資料館は昨年2月29日~5月31日と12月14日~今年2月7日の2回、新型コロナの感染拡大を防ぐのを目的として臨時休館した。現在は開館しているが、常設展示の入場は30分当たり200人を上限にしている。

 資料館によると、20年度の累計の入館者数は2月末時点で29万4341人。今月は14日までに1万1388人が訪れており、昨年12月以来の1万人超えとなったが、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の押し上げ効果があったとみられる昨年秋ほどには増えていない。

 月別は11月が8万5199人で最も多いが、前年同月比で4割にとどまった。その後は10月が6万6339人、8月が4万427人で続いた。外国人の入館者は2月末時点の累計で1万162人。過去最多だった19年度の同じ時期(52万2781人)と比べて98%減っているという。

 55年に開館した資料館の入館者数は60年度に初めて40万人に達し、その後は40万人台を割っていない。79年度から2019年度までは41年連続で100万人を突破。現職の米大統領として初めてオバマ氏が広島を訪問した16年度以降は150万人を超えていた。

 資料館は「コロナ禍の中でも多くの人に被爆の実態を知ってほしい。入館者にマスク着用、検温、消毒などの感染防止策へ協力してもらい、オンラインも使いながら発信していきたい」としている。

(2021年3月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ