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展示ケース寄贈 平和のバトン 西区の久保田さん 本川小へ 被爆女性の遺志継ぐ

 親交のあった被爆女性の遺志を継いだ久保田良枝さん(65)=広島市西区=が、本川小平和資料館(中区)に展示ケースを寄贈した。「平和貢献に役立てて」と用途を指定して託された遺産の一部を充てた。29日に市から感謝状が贈られる。(桑島美帆)

 女性は、2019年12月に93歳で他界した吉岡(旧姓平野)澄子さん。久保田さんの母の日原治子さん(1月に94歳で死去)と同級生だった縁で久保田さんは、吉岡さんの晩年を約10年間支えた。

 19歳の時に被爆した吉岡さんは、後に乳がんや貧血に苦しんだ。被爆体験や反核の言葉を口にすることはなかったが「原爆は絶対だめ、という強い思いが伝わってきた」という。

 吉岡さんと久保田さんは本川小の卒業生。そこで、同資料館へのケース寄贈を申し出た。縦横55センチ、高さ120センチのスタンド式。同小の教員だった故尾形静子さんの体験手記の展示に先月から使われている。

 「被爆の後遺症に苦しみながら懸命に生きた澄子さんの思いが詰まったケースです」と久保田さん。岡田由佳校長(54)は「先輩からの平和のバトンを、子どもたちと受け継いでいく」と謝意を述べた。久保田さんは原爆資料館(中区)にも展示ケースを1台寄贈した。

(2021年3月27日朝刊掲載)

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